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裁判員ネット・インターン体験記 その⑳

2015年6月18日

裁判員ネットでは、定期的に裁判員ネットで活動する学生をインターン生として募集しており、現在第13期インターン生を募集しております。インターン生は、裁判員裁判市民モニターの運営や裁判員制度に関する調査活動、法教育に関する講座・授業の運営などを担当したり、裁判やそこから見える社会の課題について意見を交わし、自分たちの問題として考え、広く発信する活動をしています。

今回は、第10期のインターン生の「体験記」をお届けいたします。裁判員ネットでの活動に関心を持たれた方や、「インターンをやってみたい」と思っている学生のみなさんは、ぜひご一読ください。

■インターンでの学び

第10期インターン生・村重直佑さん(法学部1年)

私が裁判員ネットでインターンをしようと思ったのは、学内のサークル等ではできないことを経験してみたいと思ったからです。裁判員ネットで、これまでに経験したことの無かったことに取り組み、多くの事を学びました。その中でも特に以下の3つを挙げたいと思います。

1つ目は、目立たない作業であっても間違いや遅滞を避けることの大切さです。インターン期間中、ホームページの更新する仕事を担当していました。作業自体は地味なものでしたが、外部に発信しているものなので、間違いがあれば情報を見た方に迷惑をかけてしまうことになります。これまでは目立つ作業ではないと思ってしまうとつい手を抜きがちになってしまう自分がいました。しかし、それでも見ている人は見ているのだということに気づいて、この考え方は変わりました。小さな間違いであっても他者に渡す情報に間違いがあれば必ず誰かに迷惑を掛けてしまうということを痛感し、細かい作業でも大切にすることを心がけるようになりました。

2つ目は、周到な準備の大切さです。インターン期間中に達成を目指す目標の1つにフォーラムの成功というものがあります。私はこの1つの目標を成功させるまでのプロセスを間近で見て、また関わることができました。フォーラムに向けた数カ月に及ぶ準備を、役割を分担して進めていき、一週間に一度会議をして問題がないか確認します。こうしたやり方は、無駄がなく効率的に物事が進んでいるように感じました。そういった効率的な進め方を見るうちに、どうすれば効率的に物事を進められるのか意識するようになりました。

3つ目は、同じ物事でも様々な解釈が成り立つのだということです。これは特に裁判を傍聴した時に感じました。インターン中に、市民モニターとして裁判を傍聴し、模擬評議を行って自分たちなりの判決を出すという経験をしました。その議論の中で、自分とは正反対の解釈をする人もいるということを知り、またその理由も一理あると思える自分に気が付きました。物事は多様な視点で見ることができるということをこの時ほど考えたことはありませんでした。言葉だけで知っていた「多様な視点」というものを、インターンを通して具体的なものとして理解することができたと思います。こうした経験は、正解というものは1つだとは限らないという事を私に教えてくれました。

この体験記をまとめる中で、インターンを通して学んだことや自分が克服するべきところが見えてきたように思います。ここで得たものは別のところでも活かし、克服するべきところはこれからの課題として向き合っていきたいと思います。

■成長できる環境

第10期インターン生・栗尾早紀さん(法学部1年)

「大学生活の中で、これをがんばりました!と胸を張って言えるものをつくりにきました。」

インターンの面接でこう宣言した私は、この5ヶ月間、幾度となく自分に問いかけてきました。本当にがんばれているのか、成長できているのか、と。

最初は思っていた以上に大変な日々に追われ、先輩方のように仕事ができない自分に苛立ちを覚えてさえいた気がします。しかし、先輩方から的確なアドバイスをいただき、同期の仲間と切磋琢磨していくうちに、裁判員ネットでの活動が楽しいと思えるようになっていきました。

もちろん、ミスもたくさんしましたし、その度に落ち込みもしました。他のメンバーと自分を比べ、自分の欠点ばかりが浮き上がってくる現実から逃げたくなったこともありました。それでも、些細な成長を褒めてくださり、まだまだがんばれる!と応援し、期待してくださる周りの方々のおかげで、少しずつ、しかし確実に、反省と成長を積み重ねていくことができました。

裁判員ネットには、自分の成長を形にできる環境があります。私は、裁判員ネットのフォーラムで登壇し、今までの自分たちの活動から得られた裁判員裁判に関する意見や問題提起などについて報告しました。100人を超えるお客様の前で、自分が関わってきたことについて発表できる機会というのはめったにないと思います。また裁判員ネットの取り組みはメディアにも取り上げられています。こうした経験は、ふだん通りの大学生活を送っているだけではなかなか得られないものだと思います。小さい自分が大きい社会に発信できるのだ、ということ。発信すれば必ずどこかで誰かが聞いてくれていること。これを実感できたことは私にとってとても大きな収穫でした。

私は、自分の限界を自分で決めてしまいがちなところがあります。自分が「思っていたよりもできなかった」となったとき、他の人「負けている」と思ったときに傷つくのが怖くて、いつも無意識に限界を決め、その限界に達した自分に満足していました。しかし、今回のインターンでの経験を経て、このような「限界」は大いに突き破ることができる、ということを知りました。限界は自分で決めるものではないと教えてくださった周りの先輩方、そしてそのことを身をもって感じることのできたあの数々の経験は、裁判員ネットでインターンを頑張りぬいたからこそ得られたものだと思っています。

今回の5か月にわたるインターンで最も強く感じたこと、それは、仲間がいなければ成長できないということです。そしてそのうえで、コミュニケーションはなくてはならいものだと感じました。人を見習い、人と助け合い。人が創る社会に発信することを恐れずに。常によりよい方法、よりよい結果を、同志といっしょに求め続ける。この姿勢があつまってできたのが裁判員ネットであり、たくさんの人のその姿勢がさらに裁判員ネットを進化させているのだと思います。そして私はその一員になれたことを誇りに思っています。

■裁判員ネットでの社会勉強

第10期インターン生・杉本健太郎さん(法学部1年)

私は、裁判員ネットでの5ヶ月間のインターンシップを通じて、様々な経験を積み、知識を得ることができました。中でもフォーラムの準備とフォーラム当日の発表にかかわる経験は、得難いものであったと感じています。

まず、フォーラムに向けた準備では、インターン生は主にフォーラムの告知活動を担当します。

私が担当していたのは、広報チラシの配布状況を集計するというものでした。配布状況を細かく記録していく作業は気がめいるものではありましたが、それを最後までやり通すことで得られたものもあります。それは、一言でいうと責任感です。私は、インターン開始時から約2か月弱で前記のタスクを与えられ、その運用と報告をすべて任されました。最初は、基本となるパソコンの使い方がわからず、スタッフの方に泣く泣く相談したのを覚えています。そして、集計作業に慣れてきた後も、その次に、他のスタッフの方にわかりやすく説明することが求められ、しっかりとした報告までできるようになるために何回も失敗を重ねました。しかし、仕事上のスキルにしても、人にわかりやすく説明するスキルにしても、社会に出たうえで求められているものであることには変わりはありませんし、それらを確実に獲得していくためには、すべてを任せられ、責任感を持って自ら状況を打開していく能力が必要です。裁判員ネットでの数々の失敗は、私にその責任感を与えてくれました。

そして、フォーラムでの発表についてですが、私は、裁判員制度が施行されてからの5年間を振り返るというパートを担当しました。その時は、制度施行から5年目の節目ということで、世論の関心も高まっているということもあり、幅広い年代の方が来られ、中にはメディア関係者の方もおられました。私自身、このような世間の目が一気に集まる場で登壇した経験はなかったのですが、これを通じて大勢の人の前で話すスキルと度胸を身に着けることができたように思います。今後の人生において、いつどのタイミングに人前で話す機会が訪れるかはわかりません。しかし、裁判員ネットでのインターンは、短い期間の中でも多くの経験を積める場として最適だと思います。

最後に、裁判員ネットの一番の魅力を紹介したいと思います。この団体は、学生や社会人を主体とした若い人が多い組織です。そのため、「インターン生」と「スタッフ」の間の壁が少なく、何でも相談し合える関係が構築できます。もちろん、仕事に関しては皆真面目に取り組みますが、オン・オフを含めてチームワークの雰囲気が「家族」のように良く、組織の中ではそうした環境作りが重要であるということを肌で感じることができました。私自身、別の場では組織を運営する立場でもあるので、裁判員ネットで知った良さを今後に活かしていくつもりです。

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