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裁判員ネット・インターン体験記 その③

2011年6月22日

 裁判員ネットでは、定期的に裁判員ネットで活動する学生の方をインターン生として募集しており、このたび第5期インターン生の募集を開始しました。インターン生は、裁判員制度市民モニター企画・運営などを担当し、それを通して裁判やそこから見える社会の問題点について取材や議論を通して自分たちで考え、広く発信する活動をしています。
 今回は、これまでのインターン生の「体験記」をお届けいたします。裁判員ネットでの活動に興味を持たれた方や、「インターンをやってみたい」と思われている学生のみなさんは、ぜひご一読ください。

 

■学生であっても役割と責任をもつ

第3期インターン生・大江実花子さん(外国語学部・3年)

 私のインターンへの参加目的は「学生という立場から社会と関わることを経験する。」ということでした。しかし、私の期待はいい意味で、見事に裏切られました。
 裁判員ネットの活動においては、基本的に学生であろうと社会人であろうと関係なく平等に扱われ、個人個人が尊重されます。誰かが発言をすれば全員が全力で耳を傾けてくれ、自発性を尊重し、インターン生にも年齢や立場に関係なくどんどん責任ある役割を与えてくれるという環境は、とても恵まれていたと思います。
 裁判員ネットでの活動は、学生でありながら社会に対して責任を負うことを求められます。扱うテーマも「裁判員制度」という社会的な関心も高いものであることから、少なからずプレッシャーに感じることもありました。しかし、裁判員ネットは社会人スタッフ、学生スタッフの方々があらゆる面でフォローをして下さるので、不安は取り除くことが出来ますし、何より自分の意欲さえあればいくらでも成長することが出来る場所だと思いました。私は所属が法律系の学部ではなかったので司法の知識は全くありませんでしたが、スタッフの方々が一般的なことから専門的なことまで、幅広く、かつわかりやすく指導して下さったお陰で、抱えていた不安を取り除くばかりか更なる興味を広げることができました。同期で活動していたインターン生の仲間たちも、とても成長意欲の高いメンバーが多く、たくさんの刺激を受けることができました。
 また裁判の傍聴を経験し、裁判員制度というまだ始まったばかりの制度を目の当たりにしたことで、私自身、自分なりの問題意識を持つことが出来たと感じています。裁判員制度が始まったことによって、私たち一般市民にとっては今まで別世界のことのように感じていた司法の世界がぐっと身近な出来事となったのだということを実感しました。そしてさらに、これを私達はどのように受け入れていくべきなのかという問題意識を共有する手段が必要であるとも思いました。この問題に対する解決策を見つけることは決して容易なものではないと思いますが、このインターンで得た経験をもとに、これからも自分なりの答えを模索していきたいと思います。

 

■現場を知ることの大切さ

第3期インターン生・讃岐健太さん(法学部・1年)

 インターンを終えてみて思うのは、この4カ月が非常に濃いものだったなということです。大学に入ったばかりで何をしようか迷っていたところにインターンをやらないかという誘いがあり、とにかくやってみよう、という思いで参加しました。活動を続けていく中で、さまざまなことを学ぶことができました。これからの人生で必要になること、知っておいたほうが良いこと、これらを学べただけでもインターンとして活動した意義があったと思います。
 裁判員ネットの活動では裁判員裁判の傍聴が重要とされます。僕個人は7件の裁判を傍聴しました。裁判員裁判は刑事事件が対象となりますから、殺人や放火など重大事件の裁判を数多く見ることになりました。その雰囲気を正確に伝えることができるのは難しいですが、人の一生がかかった現場にいるのだという思いから、傍聴席にいる自分が緊張することもしばしばでした。裁判の傍聴のみに関心があるという人もいるかもしれませんが、裁判員ネットでは傍聴を踏まえて如何に考えるかということを大切にしています。そのような意識を持って裁判を見るのと、ただ見るのでは全く違うことだと感じています。
 インターン活動の集大成としてあるのがフォーラムです。地道な準備が実を結び、多くの方に参加していただくことができました。フォーラムはメンバー全員が協力し合って作っていくものです。こうした活動の成果か、最近では各種メディアに取り上げられることも増えてきて驚いています。
 こういった形で注目が高まっている裁判員ネットですが、その一員として行動するときには社会人としての責任が伴います。僕もインターンの最初に言われましたが、これが学べたことの中で最大のものだと思います。学生は普段社会人として扱われることはありません。そういった普段とは違う環境に身をおくことで初めて分かること、やらなければならないことが見えてくると思います。
 もしインターンとして活動してみようか迷っている人がいましたら、言いたいことは一つです。やって損はありません。ぜひ積極的に取り組んでみてください。

 

■新たな視点が身に着いた

第3期インターン生・下地景子さん(社会情報学部・3年)

 裁判員ネットのインターン生として活動した約半年間、日々の関わりの中から、たくさんのことを学んだと思います。特に一番に身についたと思うことは新たな視点で物事をみることです。
 インターンをスタート前の事前研習で、スタッフの方が私たちインターン生を「社会人として扱う」と明言されました。入学前の新入生のようなどきどきと、苦手な法律分野への挑戦で不安に思っていた私にとって、「社会人」として振舞えるかどうかプレッシャーでもありましたが、「期待されているのだ」と誇らしく感じられるものでもありました。これがまず一つ目、一人の社会人としての視点を心がけるきっかけです。
 二つ目は実際の活動で裁判を傍聴したり、同じ学生や市民の方と意見を交わしたりと、普段の生活では関わることのなかった物事や人々との関わったことで、多様な視点で考えられるようになったことです。同じ場面を見聞きした者同士が意見を交わす上で、自分が全く気づかなかった点や発想に何度も驚き、なるほどと考えさせられました。
 また、意見を交わす上でもっとも大事なことは正解・不正解ではなく自分の意見を持つことが重要なのだと気がつきました。筋が通っていること、意味のあること、意見に自信を持つこと。そしてそれを持つためには自分自身をも見つめ直す目線も大事だと、改めて心がけるようになりました。
 そもそも、私がインターンを始めようと思ったきっかけは、新しいことや経験したことのないことに関わり、少しでも成長したいと思ったからでした。その点において、苦手意識のあった法律分野に関わり、新しい視点を得られたことは大きく自分自身の成長につながったのではないかと思います。苦手意識そのものは、裁判員ネットのインターンを経験した現在もやはり変わらず残ってはいますが、「苦手というだけで敬遠していてはもったいない」貴重な経験ができ、またそこから得るものがありました。この機会に裁判員ネットに関われたことを本当に嬉しく思います。ありがとうございました。

 

■改めて司法と向き合う

第3期インターン生・秋山広輔さん(法学部・2年)
 

 夏休みをバイトと遊びだけで使うのは勿体ないと考え、インターンでもしてみようかなと色々な団体を調べていたところに、タイミング良く裁判ネットの学生スタッフをやっている友人からお誘いのメールを貰いました。それまで法学部に所属してはいるものの、興味の対象は法律以外に向いていたのですが、「せっかく法学部に所属してるのだし、法律関係のインターンをやってみるのもいいな」と思い、インターンの面接を受けました。そうして始まったインターンですが、この期間は非常に内容の濃いものになりました。
 この4ヶ月間で得たものは、当然のことながら裁判に対する知識があると思います。ある程度裁判についての知識はありましたが、実際に裁判を傍聴・模擬評議を経験してみると、それが本や授業から得ただけの知識であり、経験の伴っていない中身の薄いものであることを痛感しました。「責任能力」の判断や立証などについて、裁判を傍聴するまではそれほど困難なものではないと思っていましたが、それが間違いであったことを知りました。
 またインターンでは、自分の考えを言葉にする訓練ができたと思います。私は自分の考えを言葉にするのが苦手でした。しかし模擬評議などでは自分の考えをしっかり言わなくてはなりませんでした。自分の出した考えが、「適当なもの」や単なる感情論で考えたものではないと周りに示す必要があったからです。まだ講義型の勉強しかしてこなかった自分にとって、非常に貴重な訓練の場になりました。
 このインターンで得たものは、裁判員になったときの「心構え」だと思います。インターンを始めるまで、いつか自分も選ばれる可能性があるにもかかわらず、裁判員制度をあまり身近に感じていませんでした。もしインターンをしていなければ、裁判員に選ばれた時、困惑するだけだったと思います。しかしこの経験を通して、法廷の知識・法廷内の考え方などを知った今は、もし選ばれたらしっかりと裁判と向き合うことができると思います。
 最後にこの4カ月間、自分を支えてくれた同期やスタッフのみなさんへお礼を述べたいと思います。みなさんのお陰で、非常に充実した期間になりました。ありがとうございました。

 

■長期インターンだからこその経験

第3期インターン生・脇田基代さん(経済学部・2年)

私が裁判員ネットの第3期インターンに応募したのは、知人が裁判員ネットで活動をしており、その知人からの告知でインターンの募集を知り、また、自分が将来法曹関係の仕事に就きたいと考えていたことから裁判員ネットの活動に興味を持ったからです。
インターンというと1週間や1か月など短いものが多いですが、裁判員ネットのインターンは4ヶ月以上という長期に渡るものであり、そのような長い時間を、普段あまり接する機会のない弁護士や社会人の方や他のインターン生と過ごすというのはなかなか経験できることではありません。インターンが始まる前の研修で、時間を有効利用するための手帳の使い方や社会人としての最低限のマナーを教えていただき、そうした基本的なことから教わったのも、長期インターンならではのことだったと思います。
また、裁判員ネットの活動の1つに市民モニターがあり、私もこれに参加したのですが、ここでは、裁判員裁判を傍聴するだけでなく、傍聴直後の記憶が新しいうちに傍聴した裁判についてみんなで意見を交換し、議論し、判決前には模擬裁判を皆で行います。また、議論の内容や疑問点などに関しては専門家である弁護士の方に意見を求めることもでき、法律や裁判員裁判についてあまり詳しくない私でもただ裁判を見るだけでなく、その裁判についていろいろなことを考えることができ、非常に良い勉強になりました。この「市民モニター」は、市民が裁判員裁判について考える良い機会になると思うので、是非これからもっとたくさんの方に参加していただけるといいなと思います。
インターンの最後の方は、資格試験の勉強など他の面で忙しかったこともあり、他のインターン生よりも参加頻度が下がってしまったのですが、社会人スタッフの方に相談したり、協力していただいたりしながらなんとかインターンを最後まで終えることができました。このインターン生の活動の集大成とも言えるフォーラムに約150名の方がいらっしゃったのを見たときは、本当に感慨深いものがありました。夜中までかかってレポートを作成したりと大変な時もありましたが、皆さんの協力を得ながら最後まで投げ出さずに終えることができて良かったです。作業に追われ「いっぱいいっぱい」になっていた時に相談に乗って下さったスタッフのみなさん、インターン生として一緒に頑張ってきたみんなには本当に感謝しています。ありがとうございました。

 

その他のインターン体験記はこちら

 

⇒裁判員ネット・インターン体験記 その④

⇒裁判員ネット・インターン体験記 その②

⇒裁判員ネット・インターン体験記 その①



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