ホーム > 裁判員ネットとは > スタッフコラム


スタッフコラム

>> スタッフコラム一覧へ

裁判員ネット・インターン体験記 その⑤

2011年7月1日

 裁判員ネットでは、定期的に裁判員ネットで活動する学生の方をインターン生として募集しており、このたび第5期インターン生の募集を開始しました。インターン生は、裁判員制度市民モニター企画・運営などを担当し、それを通して裁判やそこから見える社会の問題点について取材や議論を通して自分たちで考え、広く発信する活動をしています。
 今回は、これまでのインターン生の「体験記」をお届けいたします。裁判員ネットでの活動に興味を持たれた方や、「インターンをやってみたい」と思われている学生のみなさんは、ぜひご一読ください。

 

■挑戦する機会を与えてくれる

 第4期インターン生・廣瀬百合香さん(法学部・1年)


 私が裁判員ネットの存在を知ったのは、大学のキャリアセンターでインターン生募集のチラシを見たからです。「インターンシップ」、「裁判員制度」というキーワードに魅かれ、その場で問い合わせました。漠然とした動機から応募したため、その時は、自分がその後半年間、こんなにも良い経験ができるとは思ってもいませんでした。
 私は、2月初旬に海外旅行に行ったため、同期のインターン生と一緒にスタートをきることができませんでした。そのため「半年間一緒にみんなで頑張っていこう」という決意表明をすることができず、帰国後、いざインターン活動をするとなっても不安がありました。スタッフの方々の助けも借りながら、何とか皆についていこうという思いで活動に参加しました。
 そんな私が裁判員ネットのインターン生として仲間と一緒に活動し、たくさんの経験をしていることを実感できたのは、インターン活動も5か月が経ち、修了に近づいた頃でした。きっかけは、裁判員ネットが半年に1度開催している「フォーラム」でした。フォーラムの1か月前から本格的に準備が始まり、来場者にお渡しする報告書を作成するために傍聴した裁判の内容を分析したり、より多くの人がフォーラムに足を運んでくれるよう告知活動を行ったりしました。その中で、私は、公道でフォーラム開催のチラシ配りをする仕事の統括を担当しました。サポートしてくださった学生スタッフの方との打ち合わせや、種々のやりとりは、私がスキルアップしていく上での貴重な経験になりました。目標を設定し、その実現のためにはどういったスケジュールを立て、どのような手法をとるのか。その条件が見合う場所、時間帯、スタッフ人数、配布方法はどれか。自分の計画を参加スタッフにしっかりと把握・納得してもらうことの重要性や、限られた時間を効率よく、有効に使う必要性。ただチラシを配るという行為を実行するために、こんなに準備をしなくてはいけないのかと驚きました。慣れている人が準備をすれば、パパッと終わってしまう作業かもしれません。しかし、普段設計された活動に参加するだけであった私には、多くの時間が必要でした。スタッフの方の丁寧なアドバイスに何度も助けられながら、1つずつ仕事をこなすことができました。
 実は私は、フォーラムを終え、自分がフォーラムのため・裁判員ネットのために何をしたのかを冷静に振り返ったとき、もっと自分にできたこと、自分がやりたかったことがあったのではないかと後悔しました。そこで、残り1か月間、もう少し自分のスキルを磨けるのではないか、まだまだ裁判員ネットで吸収できることがあるのではないかと思いました。スタッフの方に相談してみると、快く、私に新たな取り組みをする機会を与えてくれました。今、まだその仕事に取り組んでいる最中ですが、この取り組みが終わった後、また新たな気づきや次につながる成長課題を得ることができるのではないかと、今からわくわくしています。
 裁判員ネットでのインターンシップでは、あるタスクに取り組む時、その作業が得意な人に優先的にタスクが与えられるわけではありません。能力の有無以上に、インターン生の「やってみたい、チャレンジしたい」という気持ちを尊重してくださり、挑戦する機会を思う存分与えてくれます。このような裁判員ネットのインターンシップに参加することができて本当に良かったです。

 

■共に仕事に取り組む中でスキルアップを実感

第4期インターン生・佐藤愛美さん(文学部・3年)

 真剣なディスカッションをやりたい、という理由で裁判員ネットのインターンシップに参加しました。
 私が描いていたインターンシップ像は、インターン生のみで活動し、スタッフはそれを監督する、といったものでした。ところが裁判員ネットのインターンシップは、私の想像したインターシップ像とは全く違うものでした。ここでは、スタッフとインターン生が互いにコミュニケーションを取り合って組織を運営していくという方針を取っています。スタッフの助言を頂くという点では他のインターンシップと同じだと思いますが、裁判員ネットではインターン生もスタッフと共に仕事に取り組むという点で大きな差異があります。共に仕事を行うことで仕事のテクニックを間近で見ることができ、ただ助言を受けるよりもスキルアップできたのではないかと私は感じました。
 初めはスタッフの方々と自分のスキルの差に戸惑い、これから自分はやっていけるのだろうか、もしかしたら参加しない方が良かったのではないか、と不安でした。ですがスタッフの方々はみな優しく丁寧で、ディスカッションの流れについていけなくなったり言葉の意味が汲み取れなかったりした時には優しくサポートして下さいました。そのおかげで私は安心してディスカッションに参加することができました。
 活動全てが刺激的なものでしたが、特に印象に残っているのは市民フォーラム開催にあたっての広報活動の内、公共施設と高校へのビラ設置作業のマネジメントを担当したことです。何かのマネジメントを担当するのは生まれて初めてで、何を最初にしたら良いのか、何をいつまでに終わらせればよいのか等、何もかもわかりませんでした。右往左往していたところ、学生スタッフの方から的確な助言を頂いたことで、自分の立場を理解しマネジメントに集中することができました。途中体調を崩してしまい、終盤の全体的な広報活動に参加できなかったことが残念ですが、この広報活動は特に成長できた経験であったと非常に満足しています。
 裁判員ネットはアットホームな雰囲気でありながら妥協しない姿勢を持ち、時に励まし合いながら共に切磋琢磨していく団体です。自分を成長させる場としてはこれほど素晴らしい場はないように思います。

 

■裁判員ネットとの「出会い」

第4期インターン生・長田咲さん(文学部・3年)

 私が今回裁判員ネットのインターンシップに参加することになったのは、偶然インターネットでインターン生募集のページを見つけたことがきっかけでした。大学生活も半分が過ぎ、淡々と過ぎていく毎日に私は何か物足りなさを感じていました。一つのことに一生懸命取り組みたい、自分を変えたいと思っていた時、裁判員ネットのインターン生募集のページを見つけ、思い切って説明会に応募しました。法律についての知識は全くありませんでしたが、法律知識がない私だからこそ社会に発信できることがあるのではないかと思い、インターンシップに挑戦してみようと決心しました。
 インターンシップが始まり、私は「市民モニター」として初めての裁判傍聴を経験しました。これまで裁判所にさえ行ったことがなかったため、傍聴初日は非常に緊張しました。法廷に入り、公判が始まった後も、まるで自分が異空間に迷い込んでしまったかのように茫然としていたことを今でも覚えています。裁判傍聴は私が初めて「司法」に触れることができた、非常に貴重な体験でした。
 私は今回のインターンシップを通して「聞く力」を身につけることができたと思います。これまでは自分の意見を周りに知ってもらいたいという気持ちが強く、他の人が話している時も次に自分は何を言おうかということばかり考えていました。しかし、様々な意見が飛び交うディスカッションを重ねることで、なぜこの人はこう考えたのか、自分と違う点はどこなのかなどについて考えるようになり、他者の意見を自分の中できちんと咀嚼することの大切さを知りました。事実は一つでも、それをどう解釈し、受け止めるのかは人それぞれです。他者の意見を聞くことで、自分の視野が何倍にも広がるのだと実感しました。
 裁判員ネットでは、仕事は与えられるものではなく自分で取りに行くものだということを学びました。自分でやりたいと志願することで仕事に対する強い責任が生まれ、最後までやり遂げようという高いモチベーションに繋がります。時にはうまくいかなかったり、絶対に成功させなければという責任感からプレッシャーに押しつぶされそうになったりしたこともありました。しかしお互いを認め合い、助け合いながら共に困難を乗り越えることができる裁判員ネットのみなさんのおかげで、私は自分の仕事をやり遂げることも、また自分自身を成長させることもできたと思います。そんな素敵な仲間に出会えたということは、私にとって非常に貴重な財産です。もしあの時裁判員ネットのインターン生募集のページを見つけなければ、大切な仲間、社会との繋がり、そして今の自分にも出会うことができなかったと思います。裁判員ネットに出会えたという「縁」に感謝し、これからもたくさんのことに自ら挑戦し、たくさんの方と出会い、自分を成長させていきたいです。

その他のインターン体験記はこちら

 



COPYRIGHT (C) Saibanin.net.ALL RIGHTS RESERVED.