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裁判員ネット・インターン体験記 その⑧

2012年7月1日

裁判員ネットでは、定期的に裁判員ネットで活動する学生の方をインターン生として募集しており、現在第7期インターン生を募集しております。インターン生は、裁判員制度市民モニター企画・運営などを担当し、それを通して裁判やそこから見える社会の問題点について取材や議論を通して自分たちで考え、広く発信する活動をしています。
今回は、第5期のインターン生の「体験記」をお届けいたします。裁判員ネットでの活動に興味を持たれた方や、「インターンをやってみたい」と思われている学生のみなさんは、ぜひご一読ください。

 

■大学では学べない貴重な体験

第5期インターン生・佐瀬聖典さん(法学部法律学科2年)

 私が半年間のインターンを通して良かったと思うことは、主に2つあります。1つ目は、責任を持って仕事をやり通すという経験を得られたことです。裁判員ネットでは、インターン生にも役割が割り振られ、その「責任者」として管理・運営を行います。普通の学生生活の中では、責任を伴う仕事を持ち、それを主体的にこなすという事はほとんど無いため、貴重な経験となりました。私はフォーラムに向けての広報担当として仕事をしました。最初はどのようにしたら良いのかわからず戸惑いもありましたが、わからない事は学生スタッフが親身になって教えてくれて、支えられながらも自分で考えて仕事をするうちに、自分の仕事に誇りを持ち、「絶対に成功させよう」という向上心を抱くようになりました。この体験を通して、一つ一つの仕事を丁寧にこなしてゆくことの大切さを学び、自分が設計して主体的に動くことで次第に全体が見えるようになり、他人に対する配慮も心がけられるようになりました。
 2つ目は、本気で仕事をしている人の近くで、一緒に仕事ができたことです。裁判員ネットは活発に活動している為、その分仕事の量も多くあります。裁判員ネットのメンバーは全員、どんな仕事にも真剣に向き合い、本気で活動しています。スタッフだけでなく、同期のインターンの皆も自分の仕事に熱意をもっており、このような人達のなかに身を置くことで、高いモチベーションを維持し、辛い時も頑張ることが出来ました。今までの大学生活で目標が薄れ、何事も中途半端になりかけていた私にとって、これはとても新鮮で刺激的でした。「目標」に向かって少しでも前に進んでゆくことの大切さを学んだ気がします。
 もちろん今あげた2つ以外にも、裁判員ネットで学んだことは沢山あり、どれも今後社会に出ても役に立つような事ばかりだと思います。組織の一員として働くことや自分の仕事に責任を持つことから、外部の人との接し方、電話のかけ方、メールの書き方に至るまで、さまざまな事を学びました。それから、もちろん裁判員制度に関することも学ぶことができました。実際に裁判員裁判を傍聴することで理解を深め、問題意識を持つことができるようになりました。
 また、スタッフやインターンの皆さんという素敵な仲間とも出会えました。大学も年齢も違う人と一緒に裁判員ネットで活動できて本当に楽しかったです。最後になりましたが、社会人スタッフの皆さん、学生スタッフの皆さん、そして第インターン生の皆、本当にありがとうございました。

 

■コミュニケーションの難しさと大切さ

第5期インターン生・青木若菜さん(経済学部経済学科2年)

 私は裁判員ネットのインターンシップを通して、たくさんの気付きや学びを得ることができました。特にスタッフや同期のインターン生の仕事に対する真摯な姿勢を見て、私も向上心が刺激されるなど、とても良い影響を受けました。
 インターンシップの中で最も印象に残っていることは、フォーラムに向けての準備活動です。インターン生はそれぞれのパートで責任者として仕事を任せられます。私はその過程で仕事におけるコミュニケーションの難しさと大切さを学びました。責任者は「どうしてその仕事が必要なのか」、「その仕事の意義」を明確にして相手に伝える必要があります。しかし私はそれまでこのようなことをした経験が無く、仲間に仕事の意図や意義を十分に伝えることができず、苦労する場面もありました。また、自分本位な考え方に陥ってしまい、仕事を抱え込む場面もあり、自身のキャパシティの無さを実感することもありました。
 しかしフォーラム当日に大勢の方が来場して下さり、私たちの話を熱心に聞いて下さっていたことに、感動を覚え、非常に嬉しいものがありました。仲間と共に苦労や試行錯誤の末に、ひとつの大きな達成感を得られるというは、貴重な経験だと思います。このような経験ができたことに、このインターンに参加して本当によかったと思っています。

 

■自分の弱点と向き合う

第5期インターン生・神田陽平さん(法学部1年)

 私が裁判員ネットのインターンシップに参加した理由は、自分自身に対する焦りによるものでした。大学1年生となり、自分の周りの人は様々なことに挑戦しているのに自分はぼんやり過ごすという状況がしばらく続いていました。自分でも何かしようとは思いつつも、何をすれば良いのかイメージすることができませんでした。そんな中、大学で知り合った友人に裁判員ネットのことを教えてもらいました。その友人の姿を見ていると、同じ大学生である自分に引け目を感じつつ、憧れもあってインターンシップに参加しました。
 当初インターンシップというものは、スタッフの人たちの仕事を見学したり、お手伝いをしたりするだけなのだと思っていました。しかし実際にはインターン生も主体となって活動しなければならず、責任感の重い仕事も任せされることもありました。活動の中で時には誉められたり、怒られたりもしましたが、インターンシップでここまで自分のことを見てもらう場はないと思いました。またスタッフの皆さんから学ぶことはもちろん、他のインターン生の仕事ぶりを目にすることや様々なアドバイスをもらったことは、非常に勉強になりました。多くの仲間がいる中で刺激を受け、もっと頑張りたい、もっと貢献したいという思いは他に変えがたいものでした。
 インターンシップ通じて、自分の中で最も変わったと感じていることは「自分の弱点を見つめ直すことができたこと」です。私はスケジュール管理が苦手で、そのため人に迷惑をかけ、足を引っ張ることが多々ありました。それまでこのことは、直そうと考えずに他のものの責任にして避けてきました。しかしインターンシップの中で、期限のある仕事を任されるうちに、否応が無くこのことと向き合わなければならなくなりました。まだ不足な点もありますが、これから生活を送る中でクリアしなければならない課題がしっかりと見つめられたことは大きな収穫だと感じています。
 最後になりますが、充実した時間を過ごさせてくれた友人、仲間、スタッフの皆さん、そして裁判員ネットに感謝したいです。本当にありがとうございました。

 

■裁判員ネットで多くのことを学んだ

第5期インターン生・長岡彩音さん(法学部国際関係法学科1年)

 裁判員ネットに参加したことで私が得たものは、想像していたものよりも遥かに大きなものでした。裁判員ネットでは、しっかりと自分の意見を持ち、相手にそれを伝える能力が求められる場が多くあります。私はインターン開始当初、まったく自分の考えがまとめることができずいることがたくさんありました。しかし次第に物事に関する課題点や仕事の意義を意識して自分の考えをまとめることができるようになりました。また外部の方達と直接関わる機会もあり、組織の一員としてふるまう上で、フォーマルな場での話し方や社会人としてのマナーを教わりました。さらに日々の活動の中でもインターン生が作業の責任者となって指示を出すこともあり、いかに指示を分かりやすく伝えることができるかを考えさせられました。
 裁判員ネットでの活動は決して楽ではありませんでした。サークル活動や勉強との両立を、どのようにしたらよいのかわからなくなってしまった時もありました。しかし、一緒に頑張っている仲間や、困った時は必ずサポートしてくれるスタッフがいたので、めげずに続けようと思うことができました。そして、計画的に時間を使うことが、どれだけ重要なことであるかを実感することができました。
 裁判員ネットのインターン生として活動した半年間は、とても充実していて、貴重な経験となりました。まだまだ力不足ですが、これからもここで学んだことを生かしてがんばっていきたいです。

 

■「伝える」ための真摯さ

第5期インターン生・利根川崇さん(法学部法律学科2年)

 私が裁判員ネットのインターンシップで学んだことは「自分のあり方次第で思いを相手に伝えることができる」ということと「チャレンジすることの大切さ」です。そのことを最も強く実感したのは、高校で裁判員制度についての「出張授業」を行った時でした。このプログラムは2日間で構成されており、1日目に裁判員ネットの学生スタッフやインターン生が講師を務めて授業を行い、2日目に模擬裁判を行うというものでした。
 「自分が裁判員裁判を傍聴して感じた思いを伝えたい」と試行錯誤して準備をし、チャレンジする気持ちで臨んだ1日目の授業でしたが、終了後は自分の思いが伝わったという実感を持つことができませんでした。「人に何かを伝える」ということにおける自らの力量不足を痛感し、とても悔しい気持ちでした。
 しかし、2日目の模擬裁判の際に複数の生徒さんから「前回の授業は楽しかった」「裁判に興味がわいてきた」という言葉をもらい、実は自分の思いを受け止めてくれていた生徒さんがいたということが素直にうれしく、胸が熱くなりました。また授業の時に「裁判は人の人生がかかっています。だから模擬裁判は自分が裁判員になったつもりで真剣に取り組んでほしい」というお願いをしたのですが、多くの生徒さんが真剣に模擬裁判に参加している姿を見て、それに応えてくれているように感じました。私はこの経験から何かを人に伝える際、真摯な態度でいることの大切さと、そうすることで思いが伝わるのだということを、身をもって学ぶことができました。
 裁判員ネットのインターンシップには、社会に触れる様々な機会があります。そして同時に「自分から何かに挑戦する」チャンスもたくさんあります。勿論失敗することもありますが、それも含めて、挑戦するだけ多くのことを得ることができるということを、日々の活動の中で感じることができました。温かく、そして時に厳しく見守ってくれた裁判員ネットのスタッフの方々の存在があったからこそ、私は失敗を恐れずに挑戦することができたと思っています。



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