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裁判員ネット・インターン体験記 その①

2010年6月30日

 裁判員ネットでは、定期的に裁判員ネットで活動する学生の方をインターン生として募集しており、このたび第3期インターン生の募集を開始しました。インターン生は、裁判員制度市民モニター企画・運営を担当し、それを通して裁判やそこから見える社会の問題点について取材や議論を通して自分たちで考え、広く発信する活動をしています。
 今回は、6月で修了を迎える第2期インターン生の「体験記」をお届けいたします。裁判員ネットでの活動に興味を持たれた方や、「インターンをやってみたい」と思われている学生のみなさんは、ぜひご一読ください。

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■「社会」に肌で触れ、人がつながることを感じる

第2期インターン生・嶋田朋香さん(法学部・3年)

 以前友人がインターンとして企業に実習に行った話を聞き、私もインターンをしたいと強く思うようになりました。昨年の12月、裁判員制度について議論をする授業に裁判員ネットの理事と学生スタッフが講師として授業に出向いてくださり、その説明の中でインターン生を募集していることを聞いたことが、私が裁判員ネットで活動するきっかけとなりました。

 2月から本格的にインターン活動が始まりましたが、私は3月まで短期留学に行っていたので3月からの参加となりました。途中参加ということで、はじめはみんなに溶け込めるか、活動についていけるか不安に思っていました。また、3月の合宿では、事前課題である「諸外国の司法への市民参加についての研究」を発表するにあたり、自分の能力の低さ、努力不足な部分と向き合い、上手くできない自分が悔しく、落ち込むこともありました。

 しかしこれらの活動を通して、他のインターン生にも「出来ない自分」に焦りや不安があるということが分かり、同期のメンバーとの交流が深まりました。そしてそれぞれの考えに刺激を貰い、もっともっと成長しようと思い、向上心を更に抱くようなりました。

 刑務所見学や定期的な裁判傍聴は、こういった機会がなければ行くことはなかった所で、とても貴重な体験でした。またそれらの経験をもとに、裁判員ネットでは意見交換やディスカッションを行います。私は人前で意見を言うことは苦手だったのですが、自分の意見を述べる機会が多くなったことで、以前よりは苦手意識がなくなりました。

 私はこのインターンを通じて責任感がついたと感じています。今までは何かを自分の責任で行うことはなく、問題があったときには何処か「人のせい」にしていたと思います。しかし、インターンシップの期間で、私が責任者となって作業をすることがあり、自分の責任で人を動かす場面がいくつかありました。

 作業が効率よく進むような内容を決め、段取りを組み、そして人を動かすことがこんなにも大変だということを身をもって感じました。何より、責任者である自分がしっかりしていないと周りの人ははついてきてくれないこと、指示も出せないということを意識するようになりました。

 私たちインターン生の集大成であるフォーラムは、一カ月前から急速に作業内容が増え、自分の作業が遅いことが原因で何度も徹夜をしたので体力的にも精神的にも疲れてしまったことがありました。しかし、どれも大切な作業であったため、それを乗り切るたびに自分の力になっていることがすごく実感できました。また、苦しくなったときは、同期のみんなが力を貸してくれ、作業を終わらせることができました。協力しあうことの大切さとありがたさを大変深く感じています。

 このフォーラムは、皆がそれぞれに今まで積み上げたものや、たくさんの方のご協力があったからこそ完成できたのだと心から思っています。少しずつの努力や協力が集まるとこんなにも大きな力になるのだということも実感しました。そして自分が裁判員ネットで活動してきた意義、役割を強く認識することもできました。裁判員ネットは司法の現場と社会を結び、人々をつなぐ役割があります。そして自分もその一員として、役割を担うことで、大学と家との往復だけでは絶対に気付けなかった「現場」を肌で感じ、人と人がつながっていくことも実感することができました。このことに気づけたことが、私にとっての最大の成果だと思っています。

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■ 発信力を鍛えた

第2期インターン生・竹越遥さん(社会科学部3年)

 私が裁判員ネットを知ったのは昨年の11月。裁判員制度施行半年を期して行われた裁判員ネットの第1回フォーラムの時でした。内容の充実具合もさることながら、何よりも、賛成派と反対派が鋭く対立していることの多い裁判員制度について「賛成か反対かではなく、市民の視点で検証する」というスタンスで臨んでいることに好感を持ち、フォーラム直後のインターン説明会に参加。そのまま迷うことなく面接を受け、第2期インターン生として裁判員ネットの活動に参加することになったのでした。

 裁判員ネットの活動に参加して得られたものは、裁判員制度についての知識だけではありません。私にとって最も大きかったのは、「発信する機会」を得たこと、そしてその中で「発信する力」を鍛えることができたことだと思っています。以下ではこの発信する機会と力について、具体的な場面ごとに述べてみたいと思います。

・会議、ディスカッション
 裁判員ネットに参加したことで、裁判員制度(を含めた刑事司法全体)に関して自分が考えていることを議論する場を持つことができるようになりました。このことは私に、頭の中でぼんやりとしか形作られていなかった意見を論理的に整理し、相手に納得してもらえるように話すことを意識させるようになりました。またこのような場を得たことで、同じようなテーマについて考えている人の意見を聞く機会が格段に増え、一人で学んでいるのでは得ることのできない視野の広がりを感じることもできました。

・フォーラムの実施とパネルトークへの参加
 去る6月12日、裁判員ネットは裁判員制度施行からの1年を検証するフォーラムを行いました。このフォーラムは、裁判員ネットが1年間の活動を通じて蓄積してきた知見を纏め上げ、ひとつの形にしたものです。それほど規模の大きなものではありませんが、自分たちの活動と社会とのつながりを確かに感じることができましたし、小さな組織であっても社会にとって大きな価値のあるものを発信することができるのだということを実感することができました。また、個人的には第2部でパネリストとして登壇し、一般の人々に向かって直接自分の意見を語るという貴重な体験をさせていただきました。裁判員ネットでの活動の中で多くの人の意見を吸収してきたこと、それを踏まえながら自分の考えを深めてきたこと、そして多様な形で「発信する力」を養ってきたこと。これらがあったからこそ、過度な緊張に襲われることもなく、自分の見解を述べることができたのだと思います。パネルトークへの参加によって、半年間で自分が何を得てきたのかを改めて確認することができました。このような機会をいただけたことに感謝しています。

 裁判員ネットのスタッフは、学生・社会人問わずそれぞれが自分に割り振られた仕事に責任を持ち、それらに誠実に取り組みながら組織としての活動を作り上げています。インターン生も同様の責任感と誠実さを要求されますが、それに応えようと努力することで、学生生活を送っているだけでは為し得ない形での成長ができるように思います。このような真剣な団体に出逢えたこと、そこで刺激を受けながら共に活動できたことをとてもうれしく思います。

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 ■苦しいながらも、協力して「力」をつける

第2期インターン生・門前真善さん(法学部3年)

 今回、私は裁判員ネット2期インターンとして活動して多くのことを学ぶことができました。その中でも一番大切にしたいことは、「仲間との協力」です。私たちは一丸となってフォーラムの準備、運営をしました。ちらしの印刷や配布、発表内容の作成、パワーポイントや動画の作成、当日の会場セッティング、報告書作成などなど、みんなが分担して本番に臨みました。おかげさまで、フォーラムに来ていただいた方にも非常に満足していただき、自分たちでも価値あることができるのだと実感しました。こういった経験を学生時代にできたことで、きっとこれから僕にとっても、大きな支えになると思っています。

 裁判員ネットの活動内容は実に様々で、裁判員裁判の傍聴だけでなく、合宿研修や刑務所見学なども行います。合宿研修では、事前に調べてきたレポートのプレゼンを行いました。こういった場では厳しく真剣な指摘や意見が出されました。その一方で皆で仲良く親睦会を行うこともり、非常に楽しい時を過ごすこともありました。こういったメリハリやけじめ、切り替えという大切なことを、言葉ではなく、行動で教えてもらったと感じています。これもまた、人生では大切なことだと思うので、これからも忘れずにいたいと思います。

 裁判員ネットのインターンシップは、「確かな力」を育ててくれます。しかし力をつけようとすれば、苦しい時期や心がくじけそうになる時もあります。実際に僕は辞めたいと思ったこともありました。しかし、どんなに弱っていても、周りにいる『仲間』が励ましてくれて、大きな目標であるフォーラムを迎えることができました。フォーラムが終わった時に、いつも自分を支えてくれた人と喜びながら抱き合った時、涙が出そうになり、その日は早々に帰りました(笑)。

 実は僕は本当に人の役に立てるのか、いつも不安を感じていました。しかし、裁判員ネットのインターンを最後まで通すことができたことでその不安が消えました。「自分でも力になれるのだ」と思えるようになり、そしてこれは、これから社会に出て活動するための大きな原動力になると思っています。裁判員ネットでインターンができたことは非常に良い体験でした。

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■視野と行動範囲の広がりが私の変化に   

第2期インターン生・皆川友佳さん(法学部3年)

 私はインターンを始めてから「変わったね」「前向きになった」「発言するようになった」「自分から行動するようになった」と、よく言われるようになりました。私の中では性格的な部分は変わっていないと思っていますが、インターンが私の何かに影響したことは間違いありません。 

 このインターンで私が得たかったことは、プレゼンテーション能力や大学以外で得られる仕事上のスキルでした。しかし、裁判員ネットはそれ以上のものを私に与えてくれました。裁判員ネットでは、多くのディスカッションをします。ここでは皆さん自分の意見を持っている人が多いので、私は最初はあまり意見が出せず、ただ聞いているばかりでした。これではいけないと思い、「自分から発言をしよう」「みんなに聞いてもらおう」と考え、行動するようになりました。まだまだかもしれませんが、自分の意見を伝えるようになってきたと思います。また皆さんの意見を聞くことで「このような考えもあるのか」と視野が広がり、私の中での考えも発展させることができました。

 インターン生はフォーラム(イベント)の企画運営を担います。この企画を通して得たことも沢山ありました。計画しそれを実行することの大変さ。臨機応変な対応。そして何といっても行動力がどれだけ大切なのかということがわかりました。中には今までやったこともないような仕事も沢山ありました。会場周辺の地域でちらしを配布したり、大学関係者の方々にお願いをしに行ったりと、私はそれまでこういったことをした経験はありませんでした。でも「イベントの成功のために」と思い、頑張ることができました。フォーラム当日が近づくにつれてとても忙しく大変でしたが、その達成感は忘れられません。 

 この活動を通して私が実感したことは、私たちがインプットしたものを社会に対してアウトプットすることで、それを評価してくださり、また、受け止めてくださる方々が大勢いらっしゃるということです。ある講演会を見たインターン生がその感想をホームページに載せたところ、その文章が他のところでも引用され、またその講演した先生もホームページをご覧になっていたということを知り、私はとても驚きました。自分が情報得るだけでなく、それを他の人にも伝えることに大きな魅力を感じています。これからもそのような活動をしていきたいと強く思っています。

 裁判員ネットは、私の視野や行動する範囲を広げてくれました。そういった広がりから、私の変化につながり、周りの人に「変わったね」と思われたのかもしれません。この活動は私にとってかけがえない財産となりました。

インターン体験記その②はこちら

 

⇒裁判員ネット・インターン体験記 その②



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