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裁判員ネット・インターン体験記 その④

2011年6月22日

 裁判員ネットでは、定期的に裁判員ネットで活動する学生の方をインターン生として募集しており、このたび第5期インターン生の募集を開始しました。インターン生は、裁判員制度市民モニター企画・運営などを担当し、それを通して裁判やそこから見える社会の問題点について取材や議論を通して自分たちで考え、広く発信する活動をしています。
 今回は、これまでのインターン生の「体験記」をお届けいたします。裁判員ネットでの活動に興味を持たれた方や、「インターンをやってみたい」と思われている学生のみなさんは、ぜひご一読ください。

 

■社会とのつながりを実感

第3期インターン生・荒谷有紗さん(法学部・1年)

 私がインターンをはじめたのは、大学のサークルの先輩からの一通のメールがきっかけでした。「裁判員ネットでインターンをやらないか」という誘いに迷わず返答ができたのは、当時、私が自分自身の大学生活に対して疑問を抱いていたからだと思います。辛かった大学受験を終え、憧れていた大学生になり「自由な時間」を多く手にしたものの、現実の大学生活は何をするでもなく、毎日をただ過ごすだけで、高校時代に思い描いていたものとはかけ離れており、私はどこか満たされない思いを感じていました。「自分はいったい何のために大学に入ったのか。」入学して数ヶ月が経ち、私は自分の方向性を見失ってしまっていたのでした。このような戸惑いに、また、大学生のうちに何かを成し遂げたい、成長したいと願う気持ちに、一つの道筋を示してくれたのが裁判員ネットでした。
 インターンを始めるにあたって裁判員ネットから伝えられた言葉で印象に残っているものがあります。それは「インターン生を学生としてではなく、一社会人として、仲間として扱う」というものでした。この言葉は、高校を卒業したばかりの私にとって、正直なところプレッシャーに感じられました。実際、インターン生に求められるものは非常にレベルが高く、一番年少であるということに「甘えていたい」と考えていた私にとっては、辛いと感じられることもありました。しかしこの求められるレベルの高さによってこそ、具体的な形となって社会へと発信されるものが出来上がるのだということに気がつくことができました。そして、この社会とのつながりこそが、私がインターン生として活動した中で得た最も大きな体験です。
 私は2011年11月に行われたフォーラムにおいて、報告書の作成に携わり、また発表者として裁判員制度について報告する機会がありました。当日は大勢の来場者された方々にその報告書が手渡され、また発表を聞いて頂き、たくさんの感想やご意見を頂きました。そして社会にメッセージを発信するということの意味と意義を深く実感しました。またこのフォーラムが報道されたことから、より幅広く社会に発信しているのだということも実感しました。
 このような社会とつながるという経験は、今までの生活では決してなかったものです。自分たちが作り上げたもので社会と直接つながることができるのだという気づきは、私自身の今後に大きな影響を与えるものになったと思います。

 

■インターンで培った積極性

第3期インターン生・嶋村創さん(情報コミュニケーション学部2年)

 私は「人前でも堂々と話せるようになりたい」という想いからインターンを始めました。私は友人たちの間では気軽に話せても、発表などになると緊張してうまく話せなかったのです。そのため大学生活でも大勢の前で発言することを極力避けていました。しかしそんな私の想いとは裏腹に、学年が上がるにつれてゼミやサークルなどでの発表の機会は増える一方でした。「いつまでも逃げてはいられない。」と考え始めた時、友人からインターンの誘いを受けたのです。良い機会だし、とにかくインターン中は何事にも積極的に挑戦しようという決意のもとに応募しました。
 インターンでは先ず人前で積極的に話すことを心がけました。裁判員ネットでは定例会議や裁判傍聴後のディスカッション、イベントやホームページなど各担当者によるミーティングなど人前で話す機会が沢山あります。初めのうちは不安でしたが、回を重ねるごとに少しずつではありますが、発言できるようになってきました。最終的にはフォーラムで大勢の人を前にして発表することもできました。それは以前の私では想像もつかないことでした。どんなに苦手なことでも諦めずに取り組めば克服できると思い、今では大学など色々な場面でも、臆することなく発言することができるようになりました。
 また、このインターンでは問題意識の高いメンバーと出会うことができました。彼らとのディスカッションを通して私自身も大きく成長できたように思っています。例えば裁判傍聴の際自分では気付かなかった問題点が、周りの意見を聞くことで見えてくるということが本当に沢山ありました。それらを通して、視野が広がりを感じるのと同時に、自分の意見を伝えようとすることで、私自身の考えも深まりも実感しました。
 さらに、人と協力することの大切さも再認識しました。一人では到底できないようなことも、全員で情報を共有して仕事を分担することで達成することがし可能になります。ですから、一人一人が役割を担うというのはとても大切なことであると気付きました。もちろん辛いときもありましたが、周囲に相談することで乗り切ることができました。なにより他のメンバーの頑張っている姿が力になりました。お互いに助け合えるメンバーに出会えて本当によかったと思っています。
 私は裁判員ネットでのインターンを通して、自分を変えることができましたと感じています。もしこのインターンに参加していなかったら、今でも人前に立つことから逃げ回っていたかもしれません。貴重な機会を与えて頂いたことに感謝しています。そして真に尊敬できるメンバーと出会い、彼らと協力してフォーラムを成功させることができました。このことは私にとって何物にも代えられない貴重な経験になりました。このインターンで培ったことを活かして、今後も積極的に活動していきたいと思っています。

 

■今後のステップアップにつながる経験

第3期インターン生・吉川有佳里さん(法学部・3年)

 まわりの友達が企業のインターンへの参加を決める頃、大学のキャリアセンターで裁判員ネットのインターン募集のチラシを見つけました。私の中で「インターン」というものへの参加意欲は決して高いものではありませんでしたが、「何かに熱く取り組んでみたい」「裁判員制度についてもっと知りたい」という言葉に惹かれるものがあり申し込みを決めました。
 私はこのインターンで、3つの目標を立てて取り組みましたので、その目標に則してインターン活動を振り返りたいと思います。

①裁判員制度に関する知識を身につける
 私は法学部生ですが、裁判員制度については「そのような制度がある」という程度の知識しかありませんでした。そんな中で実際に裁判所に足を運び裁判員裁判を傍聴することは、私にとって大変貴重な経験となりました。3つの裁判を傍聴し、内1つは全日程を傍聴しました。5日間続けて裁判所に通うという経験はもちろん初めてのことでした。目の前にいる被告人の姿や裁判員の表情は今でも覚えています。実際に制度が運用されている現場を目にすることで、自身の裁判員制度に対する考えを深めることができました。
②アウトプット力を高める
 私は物事をわかりやすく伝えることが苦手だったため、この目標を立てました。他のメンバーの発表やディスカッション、レポート集を見ていると自分の力不足を感じることもありました。一方でアウトプットの機会が何度もあったこと、他の人の活動が目に見える環境はとても刺激的でした。今後はインターン中に頂いた様々なアドバイスを活かし、さらにアウトプットする力を高めて行きたいと思います。
③「社会人」としてのマナーを身につける
 フォーラムにより多くの方に足を運んでいただくため、各方面の皆さまに広報活動へのご協力の依頼を行うにあたり、私が統括する役割を担いました。その際私の未熟さ故に、私自身戸惑うことや逆に周りに迷惑をかけてしまうこともありました。しかし、周囲の皆さんからアドバイスや助言を頂きながら、最後までなんとか成し遂げることができました。フォーラム当日、沢山の方々にご来場いただき、広報の成果が出たことはとても嬉しかったです。社会人としてマナーを守りながら責任を全うすることの重要さを、肌で感じた瞬間でした。

 私はインターンの体験を通して、とても大きな充実感を得ることができました。大変なこともありましたが、スタッフや同期のインターン生に助けられながら最後までやり遂げることができました。また、これまで気がつかなかった自分の欠点や、逆に自分が得意としている部分が少しずつ見えてきました。そしてこのインターンの経験は、今後のステップアップに繋がる経験だったと思っています。

 

■「考える」ということを学んだ

第3期インターン生・榊原樹さん(法学部1年)

裁判員ネットのインターンには先輩に誘われたことをきっかけに参加しました。当初はこれほど多くのことを学び、体験し、実践する生活が始まるとは思いもよりませんでした。あまりにも早く、そして充実した期間だったと感じました。
インターン開始直後は、とにかくついていくのに必死で、かなり辛かったのを覚えています。今までにやったことのないことに苦戦しながら参加していました。しかし、時間と経験を重ねていくうちに、いろいろなことを学び、考えられるようになっていくのはとても楽しかったです。インターンの終盤は「力がついてきた・・・かな?」と自分の成長を感じながら活動することができました。ここでは特に観点の広がりと仕事をする上での学びについて述べたいと思います。
私は「執行猶予と保護観察」について裁判員裁判と関連付けながらレポートをまとめることを担当しました。大学ではこういった「刑事政策」については1年生では触れることはありません。ですからこういった分野に接することができたのは、自らの考えを深める良い機会でした。また、裁判員裁判を傍聴したのですが刑罰というものを考えるとき、これまでは「刑期の長さ」という観点でしか考えられなかったのですが、「何が被告人にとって最良か?」という点にも目が向くようになりました。
また「仕事をする」上でも学びがありました。例えば目の前の作業のことだけを考えるだけでなく、もっと広く目的や意義も考え、「何が最良か」も考えられるようになったことです。インターンではひとつの場面から学んだことを次の行動につなげることができるような機会が数多くあります。まさに「学校では教えてくれない」部分を体当たりで学べたと思っています。インターンの後半にはフォーラムの広報活動を担当したのですが、ここでは今まで学んでこと、経験したことの全てをぶつけ、最高をめざして取り組みました。その結果約150名の方にご来場して頂き、とても大きな励みとなりました。
このインターン活動ができて本当によかったと思っています。インターンを終えたこれからもここで学んだことを最大限に活かし、常に自分を磨いていきたいです。
現状で満足することなく、「初心忘れるべからず」。
周りから頼りにされ、それに応えられる人に。
周りにいい影響を与えられる人に。
そんな人間になれるようにこれからも精進していきたいと思っています。

 

■自分の考えを発信することで得たこと

第3期インターン生・野倉佳保さん(法学部・3年)

 私がインターンとして色々なことを経験し、感じたことを書きたいと思います。
 まず裁判員ネットに参加することで人の意見を聞き自分の意見を言う機会を多く得ることができました。私は人前で話すことがとても苦手で、最初は会議に出ることさえ不安でしたが、例えば裁判を傍聴した後に意見交換を行うのですが、こういったディスカッションを重ねるうちに、積極的に発言するスタッフや同期のインターン生、そして市民の皆さんに影響を受けて、次第に私も自分の意見を言えるようになってきました。
 また文章を書き、まとめる力がついたように感じています。私たち3期インターン生には裁判員制度に関連する用語についてのレポートを書くという課題があり、スタッフの弁護士に見てもらって何回も書き直しを重ねました。最初にレポートを提出した際に真っ赤になって返ってきたときは大きなショックを受けましたが、これだけ熱心にレポートを見てもらえる機会はそうないと思い、本を読んだり新聞記事を集めたりして何とか書きあげることができました。また、裁判員制度に関するイベントに参加してレポートを書く機会もあり、そういったイベントに参加するということ自体が私にとっては新鮮な経験で勉強になったと思います。難しい内容でまとめるのに苦労しましたが、私が書いたレポートがホームページに掲載された時は達成感がありました。
 さらに、皆と協力することの大切さを実感することができました。例えば2010年11月のフォーラムに向けての準備は地味な作業で根気が必要でしたが、当日は会場がほぼ満席に埋まったときは胸がいっぱいになりました。私がここまでインターンを続けられたのも、素晴らしい同期のインターン生やスタッフの頑張りに刺激を受け、支えてもらったからです。振り返ってみるとあっという間でしたが、充実した時間を過ごすことができたと思います。
 裁判員ネットの皆さんに出会うことができて本当に良かったです。ありがとうございました。

その他のインターン体験記はこちら

 

⇒裁判員ネット・インターン体験記 その③

⇒裁判員ネット・インターン体験記 その②

⇒裁判員ネット・インターン体験記 その①



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