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裁判員ネット・インターン体験記 その⑮

2014年1月10日

裁判員ネットでは、定期的に裁判員ネットで活動する学生の方をインターン生として募集しており、現在第10期インターン生を募集しております。インターン生は、裁判員制度市民モニターの企画・運営などを担当したり、裁判やそこから見える社会の問題点について意見を交わし、自分たちの問題として考え、広く発信する活動をしています。
今回は、第8期のインターン生の「体験記」をお届けいたします。裁判員ネットでの活動に関心を持たれた方や、「インターンをやってみたい」と思っている学生のみなさんは、ぜひご一読ください。

■自分自身と向き合うことで得られる成長

第8期インターン生・林俊輔さん(法学部法律学科2年)

私が裁判員ネットのインターンに応募したきっかけは、裁判員ネットが半年に一度開催しているフォーラムに参加したことです。私は以前から裁判員制度への関心があり、自分も法学部の学生として現状を把握しておくべきだと思い、2012年11月のフォーラムに参加しました。そこで裁判員ネットが大学生をインターンとして募集していることを知りました。
私は当時、「社会経験を積む」ということに関して具体的なヴィジョンを持っておらず、このまま大学を卒業して社会人になることへの危機感を感じていました。「社会で必要とされるスキルとはなにか」を実際に社会での活動を通じて学びたいと思ったため、インターンシップへの応募を決心しました。
採用後、インターンも中盤にさしかかり、団体の活動も忙しくなってきた頃、私はミスを連発するようになりました。その頃の私は、自分が仕事を完成させることのみに重きを置き、一緒に働いている仲間に対する配慮が欠けていたように思います。自分が「できないこと」「わからないこと」を他人に相談することに恥ずかしさを感じ、まるで解決の糸口が見つからず、立ち止まってしまうことが頻繁にありました。そんなとき、スタッフの先輩方や他のインターン生が相談にのってくれました。時には叱責され、問題点を指摘されたりもしました。しかしその中で、私は人とのかかわりにおいて相手の立場になって物事を考える思いやりの重要性を学び、仕事に対する姿勢や、日常生活においても、私が自分中心で物事を考える傾向があることに気付かされました。自分自身と対峙して、自分の過ちを発見した時、取り留めのない自己嫌悪を感じました。しかし、自身の過ちを省みて、次回以降同じ過ちを繰り返さないための反省材料に活かせばいいと、スタッフの方はアドバイスをしてくれました。
私はインターンを通じて、「相手に伝わりやすい説明とは何か?」「共に組織を動かしていくには何が求められるのか?」などを、相手の立場に立って考えられるようになったと思います。また、自分に何が求められているのかを考え、相手にそのことを直接質問できるようにもなったのではないかと思います。この半年間、時間に追われ、何度も心が折れそうになりましたが、「自分ひとりで頑張っているのではない」ということが、何よりの支えになりました。裁判員ネットでの活動の中で、私は自分自身を見つめ直す機会を得、また社会での責任ある行動とは何かを考えることができました。
人と意見を交わすことの大切さを知り、そこに喜びを見出すことができるようになったのは、このインターンを通じて得たことだと思います。あっという間の半年間でしたが、ここで得た体験を自身の成長に繋げて行きたいと思います。

■周囲からの刺激で仕事に対する意識が高まった

第8期インターン生・竹本優紀さん(法学部法律学科2年)

私は、法学部生として自分が学校で勉強している法律についてより具体的に学びたいと考え、司法の分野でのインターンシップができる裁判員ネットに参加しました。
中心的な活動である裁判傍聴(市民モニター)や刑務所見学などの後には、参加者同士でディスカッションを行う機会がありました。そこでは同じものを見ても人それぞれ受け止め方が違うということに改めて気づかされました。自分ひとりではなく、他の人と一緒に傍聴や見学を行い議論をかわすことで、自分の意見が整理されたり、新しい考えや視点に触れたりして、理解を深めることができたように思います。
また、ディスカッションなどの運営にもかかわるようになると、その裏に綿密な準備があることを知りました。何か一つのことを成功させるためには、地道な細かい積み重ねが必要であり、それぞれが責任をもって慎重に仕事を行い、互いのことを思いやりながら協力しつつ取り組むことで、一つの大きなことが成し遂げられるのだということを実感しました。
インターンシップは長期休暇中にスタートしましたが、学校が始まると忙しくなり、妥協したくなることもありました。しかし、周囲の人の仕事への取り組みに大いに刺激を受け、がんばり続けることができました。同期のメンバーをはじめ、周りの人たちは仕事の精度が高く、それぞれ多忙なはずなのに上手に時間を使って適切なタイミングで仕事をこなしており、ぜひ自分もそうなりたいと思い、気が引き締まりました。一人ではくじけていたと思いますが、一緒に頑張る仲間がいたからこそ乗り越えることができたと思います。半年間という長めのインターンシップ期間も、まわりを信頼し、一緒に一つのことを達成しようと思えるようになるにはとても良い期間だったように思います。
最初は自分の仕事は完璧なものとはほど遠く、自分の作ったものをスタッフの方に添削してもらったとき、その差があまりにも大きくて、驚愕しました。スタッフの方々は、一人ひとりの仕事に対する姿勢が真剣でとても丁寧でした。そこで自分の甘さを思い知り、直していきたいと思いました。アドバイスをもらったり、真似をしたりしながら仕事のクオリティーを上げていこうと努力し、前回よりもよくなったと評価されたときには嬉しくて頑張ってよかったと思いました。学んだこと、時には失敗したことを、次の仕事に取り組む中で生かすチャンスがあるので、知識として終わらせるのではなく、自分の身につけていくことができました。うまくいかなくてもがいたこともみんな自分の力になっていったので、挑戦してよかったです。

■さまざまな「つながり」の大切さを感じた

第8期インターン生・長尾拓哉さん(法学部法律学科3年)

私が裁判員ネットを知ったのは、裁判員ネットで当時インターン生をしていた友人に、夏休み期間中に裁判員裁判の傍聴(市民モニター)に誘われたことからでした。当時は、後にインターン生として活動に携わるとは思いもよらず、ただ「法学部生なのだから一度ぐらい裁判の傍聴に行ってみようか」という程度の意識で参加しました。その縁で、フォーラムにも参加しました。
それらを通して私が裁判員ネットに抱いた印象は、活動に携わっているインターン生が、自分と同じ大学生であるのに、とても立派に見える、ということでした。市民モニターの運営やフォーラムでのインターン生の様子を見て、円滑に運営できているし、初対面の人を前にして堂々と話をしていて、素直に「すごい」と思いました。残り1年足らずで就職活動を控えていること、社会に出る上でこのままでいいのかという気持ち、大学外の人と知り合ってみたいということ等が背中を押し、インターン生として裁判員ネットの活動に参加してみようと思いました。
私が、このインターンの活動を通して最も感じたのは、つながりの大切さです。友人にこのインターンを教えてもらわなければ、私はこの活動に参加することはありませんでした。また、はじめのうちは、まだ裁判員ネットという団体が何をしているのかについての細かいイメージがわかず、とりあえず何かコミットしようという気持ちで仕事を引き受けていましたが、だんだん活動に慣れていくと、最初の頃にやっていた仕事の経験を生かして次の仕事をこなすことができるようになりました。私はフォーラム当日、登壇して発表するという機会をいただきましたが、多くの人を前にして話すときに常に意識していたのは、インターンのごく最初の頃に教わったコミュニケーションの取り方でした。また、フォーラムの運営面では、多くの裁判員ネットのOB、OGの方の協力がありました。このように振り返ってみると、活動の1つ1つにそれぞれ意味があり、それらの積み重ねの連続がこの団体の血肉となっているのだなあとつくづく思います。
裁判員ネットに参加して、任された仕事を責任を持って達成していくこと、仲間と協力して目標に対してアプローチしていくことの大切さ、大きなことを成功させるためには、1つ1つの小さなことの積み重ねがとても大事であることを実感しながら学ぶことができました。これらのことは普通に大学生活を送るだけではなかなか経験できないことだと思います。このような機会を得られたことに感謝し、この団体での経験を将来に生かしていけたらと思っています。

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