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裁判員ネット・インターン体験記 その⑦

2012年6月30日

裁判員ネットでは、定期的に裁判員ネットで活動する学生の方をインターン生として募集しており、現在第7期インターン生の募集をしております。インターン生は、裁判員制度市民モニター企画・運営などを担当し、それを通して裁判やそこから見える社会の問題点について取材や議論を通して自分たちで考え、広く発信する活動をしています。
今回は、第5期のインターン生の「体験記」をお届けいたします。裁判員ネットでの活動に興味を持たれた方や、「インターンをやってみたい」と思われている学生のみなさんは、ぜひご一読ください。

 

■仕事をする上で大切なこと

第5期インターン生・清水愛衣加さん(法学部法律学科2年)

 私は大学で配布されていたチラシでこの裁判員ネットに出会いました。私は法曹を目指し勉強は始めているものの、志望するこれといった「大きなきっかけ」があったわけでもないため、ただ漠然とした法曹界へのイメージしか持っていませんでした。そんな時にインターン募集のチラシに出会い、法律の世界の近くに自分の身を置いてみたい、科目を勉強するだけでは得ることの出来ない成長を自分が出来たらと思い、このインターンシップに応募しました。
 一般的にインターンシップというと大学3年生が企業に行って短期間研修のように体験的に働くことをいうのだと、私は思っていました。しかし、裁判員ネットのインターンシップは他とは異なると、私は実感しています。裁判員ネットのインターンシップは5か月という長期に及ぶものでもあり、「チームで仕事をする」場面が多くあります。もちろん、社会人のスタッフが様々な指導をしてくださりますが、活動の主力となっているのは学生です。同じ学生が法律についての問題や、仕事上の目標ややり方についても教え合い、議論をし、意見を共有する。互いが友人であり、スタッフとして活動する仲間でもある。そんな環境がそこにはありました。
 インターンシップを通じて、一番強く感じたのは緻密に計画することの大切さです。裁判員ネットでの役割には全て責任が伴っていると実感しました。普段、学生として大学に通っているだけの生活では、連絡を忘れることや不手際があったとしても、特に大きな支障はありません。しかし裁判員ネットの中では市民モニターをはじめ、フォーラム、講座など一般市民の方を対象とすることがほとんどであり、一つの連絡ミスや計画の杜撰さがチームとしての大きなミスにつながってしまうこともあります。フォーラムの準備や運営の裏では、物事を多面的に見て様々な起こりうるかもしれないトラブルに対応できるよう、緻密に計画されています。このような緻密な計画、準備というものが、物事への成功の鍵なのだということを学びました。
 大学生の時期に社会においてのスキルを学び、一緒に働くことの出来る仲間を得ることができ、また法律の世界の近くに身をおくことが出来たこの経験は、私にとって一生の財産になると思います。ありがとうございました。

■責任ある仕事を担う

第5期インターン生・東俊樹さん(法学部法律学科2年)

 私が今回のインターンシップで一番力を注いだことは、フォーラムの広報用資料を管理する責任者としての仕事でした。この仕事は正確性が求められました。広報の準備をいつ、どのようにして行うかを考え、スケジュールを設計し、物品の管理を行う必要もありました。一人でも多くの方にフォーラムに来場して頂くためにも、少しでも仕事が滞れば広報に支障をきたすおそれもありました。この仕事は連日進捗状況の確認をしなければならず、忙しい期間がありました。細かい作業が苦手だった私にとり、苦労する場面も多くありました。しかし、それでも途中で投げ出さずに最後までやり遂げたことを周囲から評価してもらったときはとても嬉しかったです。
 またこの仕事を通じて、社会の中で責任を担うことの重さや大変さを、身をもって味わいました。インターンシップの中では、失敗したこともあれば、うまくできたこともあります。これらの経験によって、私は少しだけ成長することができたのではないかと感じています。

■現場を見ることの大切さ     

第5期インターン生・溝口友彩さん(法学部法学科1年)

 私は、大学では法学部に通っていますが「将来は絶対にこれをやるんだ!」という明確な目標があるわけではなく、漠然と「法律に関わることをしたい」という思いしかありませんでした。また、司法に対するイメージも「自分の生活している空間とは別世界のもの」という感覚しかありませんでした。私が裁判員ネットの活動に参加しようと決意した理由は、この活動を通して司法に直接触れてみたい、そして社会に足を踏み出してみたいという思いからでした。
 裁判員ネットでの活動はつねに司法の現場に触れることの連続です。たとえば、実際に裁判の傍聴を行い、模擬評議を行います。そこで私は自分と同じ生身の「人」を裁くことの重さを感じました。被告人に対してどのような刑を科すのが正しいのかを「文字を読んで知る」のではなく、自分の五感で感じ、学び、考えることができました。その最たるもの懲役刑の「1年」の重みについてです。私は懲役刑の重さやその意味についてあまり考えたことはありませんでした。しかし被告人や被害者の声を聞き、表情や姿を目の当たりにし、「1年」の重さを単なる知識としてではなく、深く考えさせられる機会が何度もありました。これは、裁判員ネットにいなければ決してできなかったことです。
 また私は、これまで自分の意見を整理して人に伝えることが苦手でした。ディスカッションでは自分の意見を言わなければなりませんが、裁判員ネットの仲間たちはどんな意見でも真剣に耳を傾けてくれ、人に自分の意見を伝えることに対する苦手意識が薄れました。同時に彼らから話し手にとって聞き手の態度がいかに重要かも学びました。
 裁判員ネットで得た知識や経験は大きな私の財産です。この活動に参加していなければ得られなかったもの、仲間がいたからこそ得られたものだと思っています。 

■場数を踏むことで自分の弱点を克服へ

第5期インターン生・木村浩之さん(法学部1年)

 私がこのインターンシップに参加しようと思ったきっかけは、大学生活が始まってしばらく経った頃にインターンシップ募集案内を手にしたことです。その時の私は大学生活を新鮮に感じる一方で、何か物足りないような気持ちがしていました。特に「将来司法の分野に進みたい」「裁判員制度に特別な興味がある」というわけではなく、勉学以外のことも何か経験したいという気持ちでこのインターンシップに申し込みました。
 インターン期間の中では市民モニター運営など数多くのことを経験しました。その中で私にとり大きな転機となったのは、フォーラムの場で発表者としてプレゼンを行ったことです。私はもともと人前で話すことや、論理的に話すことがとても苦手で、大勢の来場者の前で研究報告を行うことは、とても苦手だと感じていました。
フォーラムの当日は準備の段階から大変緊張しており、自分の発表の順番が近付くにつれ、その緊張はより大きなものになりました。しかし、いざ発表が始まると今度は逆に少しずつ落ち着くことができ、無事に発表を終えることができました。この経験で私は「人前で話すこと」に対する苦手意識を克服できたと思っています。裁判員ネットのインターンシップは、様々な場面で自らの考えを表現する機会が多くあります。今から振り返ると、これらの「場数」を踏んだことが自らの弱点の克服につながったのではないか、と感じています。
 この半年間、とても充実した日々を送ることができました。ここで得たことを次につなげるためにも、これからも色々なことにチャレンジしていきたいと思っています。

■一つひとつの仕事に達成感とやりがい

第5期インターン生・三浦梓さん(法学部1年)

 私が裁判員ネットでインターンを始めようと思ったきっかけは、サークルの友人に誘われたからでした。私は大学1年生でしたが、もともと応募しようとは全く考えていませんでした。ところが、その友人があまりに楽しそうに話すので、説明会だけでも参加しようかな…と思い、足を運びました。そこでまず驚いたのが、裁判員ネットのメンバーの仲の良さでした。私は、インターンというのは堅苦しいものだと思っていましたが、説明会の日にスタッフ同士が冗談も交えながら話しているのを見て、居心地の良さを感じました。その印象は、半年間のインターンを終えた今でも変わりありません。厳しいところは厳しく、楽しむところは楽しむというメリハリがしっかりしている団体だと感じました。
 裁判員ネットをやっていてよかったのは、自分たちの地道な活動が少しずつ社会の役に立っているのだと感じられたことです。たとえば、裁判員ネットのホームページでは、全国の裁判員裁判の公判予定をカレンダー形式にして公開しています。このカレンダー作成は地味なリサーチ作業の繰り返しです。しかしその結果として、毎日たくさんの方がアクセスして下さっています。私はそのことがとてもうれしく、そして地道な仕事の積み重ねが、社会の役にたつのだと実感することができました。
 もともと自分は時間の使い方が下手で、大学の勉強やアルバイト、サークルなどと両立させるのは大変でしたが、1つ1つの仕事を終わらせるたびに、達成感ややりがいを感じることができました。だからこそ、やり切ることができたのだと思います。それは、自分から積極的に仕事をやっていった成果だと思っています。ですからインターン生であるにもかかわらず、フォーラムでの発表など大きな仕事も任せてもらえたのではないかと思っています。裁判員ネットでのインターン活動は本当に充実していました。ありがとうございました。



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