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裁判員経験者の全国ネットワーク設立へ-準備会合を開催しました

2010年7月5日

20100705

■裁判員経験者をつなぐ、全国的なネットワーク設立を目指して。

裁判員を経験した方たちの交流の場をつくり、心理的負担の軽減に役立ててもらうと同時に、その声を制度の改善に役立てるための全国的なネットワークの設立に向け、活動を開始しました。

昨日は(7月4日)、東京・四ツ谷でそのネットワーク作りのため準備会合を開き、裁判員を経験された4名の方をお招きし、話し合いを行いました。

この準備会合では、

・裁判員経験者の互いの交流の場の設定をして心理的負担の軽減にも役立てていただくこと
・市民の司法参加の中心である裁判員の貴重な体験を市民全体の貴重な共有資産となるようにすること

これらのテーマについての意見交換を行いました。裁判員経験者の皆さんからは様々な意見が活発に出され、非常に内容も濃かったことから、2時間の会合はあっという間に終了してしまいました。経験者の皆さんからは

「裁判が終わってから、周りの人に全然話すことができず、閉ざしていたものがあった。こういう場があると話しやすい。」

「裁判員をやった方と話す機会がたまたまあり、お互いに話すことでとても心が軽くなった。会って話す機会が本当に大切だと思った。」

「裁判が終わった後、不安に感じたことを話す機会がほとんどない。こういった話す機会があるだけでストレスが軽くなると思う。」

などの意見が出されました。裁判員を経験されると守秘義務の関係もあることから、どうしても「人に話してはいけない」「だから何も話せない」と思ってしまうことが多いようです。裁判員を経験した方には「評議」(判決を決めるための裁判官と裁判員による議論のことです)の内容やその他職務上知り得た秘密については守秘義務が課されます。しかし、その他の裁判の様子や雰囲気、感想などは守秘義務の対象にはなっていません。ですからそういった内容については自由に話しても良いのですが、市民としては「何か問題になったら後が怖いから一切言わない。しゃべらない」と思ってしまうケースが多いようです。しかしその結果、誰にも何も相談できずに色々な思いや不安を抱えたまま孤独に耐えることになってしまっている、というのがみなさんの現状のようです。そういった状況を少しでも解消し、負担感を和らげる場を設けるのはとても重要なことではないでしょうか。

さらに、
「責任をもって裁判員に参加できるような仕組みをもうけるべきと思う。そのためにも裁判員としての経験を共有するとか事前に理解を深めるような場があったほうが良い。」

「最初は裁判員などやりたくなかった。でも実際にやってからは人を見る価値観が変わった。深くなった。人の人生の背景を深く考えるようになった。制度の意義を感じる。こういう経験を多くの人に伝えたいし、共有できる方が良い」

といった意見が出されました。このような貴重な体験や意見が語られることによって、これから裁判員になるかもしれない私たち市民にとっても必ずプラスになるでしょう。そしてそういった蓄積の結果、制度の改善に活かすことにつながるのではないでしょうか。

このネットワーク作りには、弁護士や裁判員制度に関心を持って活動をしている東京や名古屋などの、いくつかの市民グループなどが集まって動き出したものです。私たちもその一員としてお手伝いしております。後援弁護士としては、元最高裁判事の浜田邦夫弁護士や日本弁護士連合会裁判員本部の牧野茂弁護士も参加しています。また、東京だけでなく全国に輪を広げていく予定です(名古屋でも7月3日に準備会合を開催しました)。

今後はホームページなどを利用しつつ、幅広く参加を呼びかけていきたいと思っています。
ご興味や関心をお持ちの方は、ぜひお問い合わせいただけましたら幸いです。

(裁判員ネット・坂上暢幸)



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