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死刑弁護人

2009年6月2日

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私のいう『強い人』とは、能力が高く、信頼できる友人がおり、相談相手がいて、決定的な局面に至る前に問題を解決していくことができる人たちである。そして、『弱い人』とは、その正反対の人、である。私は、これまでの弁護士経験の中でそうした『弱い人』たちをたくさんみてきたし、そうした人たちの弁護を請けてきた。それは、私が無条件に『弱い人』たちに共感を覚えるからだ。『同情』ではなく『思い入れ』と表現するほうがより正確かもしれない。要するに、肩入れせずにはいられないのだ。(本書3頁より)

弁護士は、なぜ「極悪人」と非難される人間のために弁護をするのか。どのような気持ちで弁護をするのか。この問いは、刑事裁判に関するもっとも素朴な問いです。

著者の安田好弘氏は、オウム真理教の麻原彰晃、山口県光市の母子殺害事件の犯人、耐震偽造事件のヒューザー元社長・小嶋進らの弁護をしてきました。まさに世論の批判が集中する人間の弁護をしてきたのです。安田氏自身も被告人として法廷に立っています。

本書には、山口県光市母子殺害事件やオウム真理教の事件等について、どのように弁護してきたのかが詳細に記されています。安田氏の見解に対して、賛成する人もいれば反対する人もいると思います。しかし、どのような立場からみても、安田氏が「弱い人」へどのように「肩入れ」していくのか。その様子が本書から生々しく伝わってくるはずです。

なぜ弁護をするのかという問い。本書は、この「正解」のない問いに対して、一人の弁護士の生き様をもって、ごまかすことなく正面から向き合おうとしています。裁判員制度や刑事裁判を知る上でぜひとも手に取ってもらいたい一冊です。

評:大城聡(弁護士/裁判員ネット・代表理事)



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