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スタッフコラム

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大東文化大学でお話しさせていただきました。

2009年12月18日

091217-1

裁判員ネットでは、裁判員制度について一緒に考え、議論していただく機会を積極的につくっております。

昨日(12月17日)は、大東文化大学法学部の瓜生洋一先生の授業にお招きいただき、私と裁判員ネット・学生スタッフの稲田くんとともにおじゃま致しました。
現在、瓜生先生の授業では、学生さんたちによる「裁判員制度」をテーマにした、様々な角度からの討議を活発に重ねております。

そこで今回、皆さんの議論の材料になればということで、瓜生先生のお計らいにより、裁判員裁判を傍聴した上での感想や、気がついた課題点などについて僭越ながらご報告する機会をいただきました。
そしてその後、学生のみなさんとの質疑応答や意見交換をする時間もいただきました。

まず最初に、裁判員裁判を傍聴した上で見つけた課題点などを私から報告いたしました。例えば、裁判の「わかりやすさ」をめぐる評価についてですが、裁判員裁判は従来の裁判に比べてわかりやすくなったと言われていますが、それに関して実際の法廷を見た上で次のような2つの側面を申し上げました。まず、プラス面としては、

・大型画面などを使ってビジュアル的にも「わかりやすく」説明されていた。
・専門用語を言った後、その言葉を説明するような、補足をする場面が何度もあった。
などといったこと。

一方、課題点としては、

・弁護側の方が検察側に比べてわかりにくい、正しく伝わらないことがあった。
・「市民にわかりやすく」を意識しすぎて、プレゼン合戦になってはいないかという懸念。
・映像の使い方などセンセーショナルになりすぎてはいないかという危惧。

こういった点について、私の見た範囲での事例を交えて説明させていただきました。

また、「自分がもし裁判員だったとしたら」という観点で、一緒に考えていただくために「被告人が刑務所に入った後の更生プログラム」や「刑事裁判の原理」「裁く立場の心構え」などといった点を「きちんとわからないまま判断しても良いのか」という問題提起もさせていただきました。

このような形で報告をさせていただいたのですが、みなさん、とても真剣な眼差しで話を聴いて下さいました。

そしてこのあと、質疑応答・意見交換をしたのですがそこでは様々な意見が出ました。

例えば争点の多い「裁判員の守秘義務」について、学生さんのアイデアとして「公文書もある一定期間が経過すれば開示される。それと同じように、裁判員の守秘義務を例えば『30年』とか設け、時限制度にしたらどうか?」といったものがありました。私もそれを聴いて「なるほど」と思うと共に、その柔軟な発想にとても驚かされました。

また、学生のみなさんは裁判員ネットが現在行っておりますインターンシップについても興味を持っていただきました。中には「インターンをやって得たもの何ですか?」など、なかなか鋭い質問も飛び出し、それに対して学生スタッフの稲田くんは「世の中の出来事をある一面だけで捉えて済ませるのでなく、もう一歩深く踏み込んで考える姿勢が身についたと思っています」と答えていました。

授業の終わりには、学生のみなさんにはコメント用のカードに質問事項やコメントを書いていただいたのですが、本当にたくさんのコメント、ご好評をいただきました。こうした若い世代の人たちが真剣に裁判員制度のあり方、社会のあり方を共に考え、意見を出し合っている姿にとても励まされるとともに、その発想の豊かさに驚かされました。むしろこちらの方が本当に勉強になりました。

裁判員ネットでは、今後も裁判員制度についてご報告し、皆さんと一緒にや議論をする機会を多くつくって行きたいと思っております。そしてこのような対話が、新しいアイデアやより良い制度の「種」が生まれるきっかけになればと願っております。

もし、ご興味を持たれた方がいらっしゃいましたら、お気軽にお声かけいただければ幸いです。

(裁判員ネットスタッフ・坂上暢幸)



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