
衆議院法務委員会にて裁判員法改正に関する提案を行いました
2015年5月20日
5月13日(水)、衆議院法務委員会に裁判員法の改正に関して、裁判員ネット代表・大城聡が参考人として招かれ、裁判員ネットのメンバーと共に出席しました(「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」の一部を改正する法律案(189国会閣41))。
裁判員法(附則第9条)では制度施行から3年経過後に制度の見直しを検討する旨が定められています。これを受けて、現在、政府から「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律の一部を改正する法律案」が提出されています。この案では、裁判員制度に関して改善が必要な事項として(1)極めて長期間に及ぶ事案を例外として裁判官のみによる裁判として実施できるようにすること、(2)甚大な災害等を想定した新しい辞退事由の類型を設けること、(3)選任手続きにおいて被害者などに対する配慮のための措置をとること、の3点があげられています。
しかし実際に裁判員裁判が行われる中で見えてきた課題は、この3点にとどまりません。特に裁判員の心理的負担の問題や守秘義務の問題などについては、制度施行以前から検討の必要性が指摘されてきたにもかかわらず、十分な議論がなされていない状況が続いています。
こうした現状に対し、裁判員ネットでは「市民からの提言」 をとりまとめて発表するなどして問題提起を行ってきました。そしてこの度、衆議院法務委員会にて参考人として出席する機会を頂くことになりました。
この日は性犯罪被害者の支援を行っている弁護士の望月晶子さん、松戸事件被害者遺族の荻野美奈子さんと、そして裁判員ネット・大城の3名が参考人として招かれました。各参考人はそれぞれ15分の意見陳述を行い、そのあと各党の議員の皆さんから合計100分の質疑応答がありました。
望月さんは性犯罪に遭われた方の被害の実態、それを踏まえた裁判員制度のあり方についての意見が述べられました。また被害者遺族の荻野さんのお話は、その被害と苦しさについて切々と訴えるものがあり、本当に胸に迫るものがありました。
大城からは裁判員ネットの裁判員経験者へのヒアリングや「裁判員裁判市民モニター」の活動から生まれた、「市民からの提言2014」、裁判員経験者ネットワークの調査活動などをもとに意見を述べました。
特に裁判員制度が市民参加の制度として社会に存在するためには、
(1)守秘義務の在り方を見直すなどして裁判員の体験を市民が共有できるようにすること
(2)裁判員及び裁判員経験者の心理的負担に配慮すること
(3)市民の視点から裁判員裁判を検証する体制をつくること
という3つの観点からの見直しが必要不可欠であるという旨の提案を行いました。
なお委員会にて配布させていただいた資料の全文を以下に掲載致します。また「市民からの提言2014」も委員会で資料として配布させていただきましたので、併せてご一読下さい。
さらに、3名の参考人の意見陳述、質疑応答は全て「衆議院インターネット審議中継」より、動画で視聴することができます。ぜひこちらもご覧ください。
こうして、国会の場で意見陳述ができたのも、これまでに多くの皆さまからご支援・ご協力を頂いたおかげでございます。本当にありがとうございます。裁判員ネットの「裁判員裁判市民モニター」には、この6年の間に300名以上が参加し、モニタリングの件数は約600件になりました。また裁判員経験者交流会も20回を超えました。皆さんの声ひとつひとつが、制度を作り、変えていくための原点となります。
これからもこつこつと活動を積み重ねて参りますので、今後ともお力添えの程、どうぞ宜しくお願い申し上げます。
なお、国会の審議については、今後も注目していきたいと思います。またこのホームページでもお伝えてして参ります。
(裁判員ネット・坂上暢幸)
――――――――――――――――――――――――
<衆議院インターネット中継動画>
<2015年5月13日衆議院法務委員会 参考人資料1>
→市民の視点から見た裁判員制度の現状と課題-「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」の一部改正案に関して(PDF)
<2015年5月13日衆議院法務委員会 参考人資料2>
→「市民からの提言2014」(PDF)