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第10回裁判員制度フォーラム「市民から見た裁判員制度の5年」を開催しました

2014年5月21日

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2014年5月21日(水)は裁判員制度がスタートしてから、ちょうど5年になります。それに先立つ5月17日(土)、東京都千代田区・日比谷図書文化館にて、第10回裁判員制度フォーラム「市民から見た裁判員制度の5年」を開催しました。当日は約110名を超える皆さまにご来場いただきました。本当にありがとうございました。また、今回のフォーラムは10回目という節目を迎えることができました。これもひとえに、皆さまのご声援・ご協力があってのことです。あらためてお礼を申し上げます。

全国初の裁判員裁判と同時にスタートした「裁判員裁判市民モニター」には、この5年の間に272名の方が参加し、モニタリング件数は545件になります。また、裁判員裁判を傍聴した後に行っている「模擬評議」は27件実施し、これまでに延べ231名の方が参加しました。

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フォーラム第1部では、「裁判員制度の5年をふりかえる」と題して、裁判員制度をめぐるこの5年間の動きを概観しました。そして様々な課題点についても市民モニターとして参加した学生メンバーより報告致しました。次に市民モニターとして裁判員裁判の傍聴・模擬評議・意見交換会を行った事例を取り上げ、モニターからの意見を紹介しながら、市民の視点から見えた裁判員裁判の現場や課題について、メンバー自身の経験も踏まえてつつ報告致しました。

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続く第2部では、市民モニターよりあつまったデータや、裁判員経験者からのヒアリングにもとづいて作成された『市民からの提言2014』を会社員や学生のメンバーとともに発表しました。この「提言」は、裁判員制度に市民が主体的にかかわるために必要だと考える、5分野(全14項目)について、現状と課題をわかりやすく整理し、改善点を具体的な提案の形にしたものです。今回は「裁判員の心のケア」や「裁判員制度を検証するためのしくみ」についても盛り込みました。

この『市民からの提言2014』は当ホームページでも公開しておりますので、ぜひご覧ください。

最後にこれらをもとに、質疑応答・意見交換コーナーを行いました。会場の皆さんから「裁判員のケア」や「裁判所の裁判日程の公開について」「法教育の有り方」などたくさんの質問をお寄せいただき、様々な意見交換がなされました。

5年前、裁判員制度についてもっと情報を得ることができ、一人でも多くの人と一緒に考える機会をつくりたいという想いから、裁判員ネットを立ち上げて活動を始めました。

裁判員制度は市民参加の制度です。ですから、私たち市民は新たな「司法の担い手」となり、法律の専門家だけに全てを任せていればよい、という状況ではなくなってきました。私たち市民にとって、もはや刑事司法は「他人事」ではなく、「自分たちの問題」して主体的に考えていくことが必要です。市民が、裁判員制度の実状を知り、意義を考え、この制度が本当に社会に必要なのかどうかということも含めて議論することによって、主体的な参加が実現するのだと考えます。

また、裁判員制度についての市民の声を集め、それを制度に反映させていくことも重要です。「お客様」ではなく、「担い手」の一員として制度にかかわるためには、その制度自体を観察し、検証する眼差しと仕組みが大切です。ですから裁判員制度の検証は、専門家が主導する場だけではなく、市民も行う機会があるべきではないでしょうか。

そうしたプロセスを経て、より良い制度、より公正な裁判の実現に、近づくことができるのだと思います。この「市民からの提言」はその試みのひとつです。

いかに市民の声を集めて制度に活かすことができるか。裁判員制度の価値と未来はそこで決まります。

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これからも裁判員ネットでは、『裁判員裁判市民モニター』や講座・出張授業などを通じ、多くの皆さんとともに市民の視点から裁判員制度について考える機会をつくっていきたいと思います。

次回(第11回)のフォーラムは2014年11月中旬頃を予定しております。

今後ともお力添えのほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。

(裁判員ネット・坂上暢幸)



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