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裁判員経験者ネットワークが発足しました!

2010年8月4日

20100803

・全国の裁判員経験者の交流の場に

裁判員を経験された方の貴重な体験を社会で共有し、心理的な負担を和らげるために、裁判員や補充裁判員の経験者が交流できる場をつくることを目的とした、「裁判員経験者ネットワーク」を発足させました。

今日8月3日は、全国初の裁判員裁判が東京地裁で行われてから、ちょうど1年にあたります。その区切りのタイミングにあわせ、東京地裁の司法記者クラブにて「裁判員経験者ネットワーク」設立に関する記者会見を行いました。このネットワークには裁判員経験者の方々や他の市民グループの皆さん、元裁判官などの弁護士の皆さんも参加しており、私たち裁判員ネットもこのネットワークの一員として活動しております。今日の記者会見にも参加させていただきました。

この裁判員経験者ネットワークの設立の目的は、

1 裁判員の貴重な体験を市民全体で共有すること
2 裁判員経験者の交流の場の設定をして、心理的負担の軽減にも役立てること

この2つの目的から立ち上げることになりました。

 

・「閉じたまま」生活する裁判員経験者

これまで、裁判員経験者の皆さんのお話を聴いて痛感するのは、「誰にも何も話せず」不安や悩みを「ひとりで抱えてしまって」いるという現状です。これはもちろん裁判員を経験された方には「守秘義務」が課されることから「話してはいけない」だから「何も言わない(言えない)」という形になり、結果的に心理的負担となって、それをずっと抱え続けるわけです。
裁判員経験者の守秘義務は、実際の「評議」(判決を決めるための議論)の具体的な内容やプライバシーなど、裁判員を行う中で知り得た秘密に関して対象とされています。しかし、裁判の様子やそこで受けた感想などは自由に話しても良いことになっているのですが、この守秘義務のイメージがやや先行してしまい、結果的に「一切何も言わない」「口を閉ざさざるを得ない」となっているようです。

 

・「分断」され続ける裁判員経験者

これは単に個人が不安や悩みを「言わない(言えない)」という問題だけではありません。裁判員経験者は社会生活の中で、誰にも自分が「裁判員を経験した」ことさえも周りに「言えない」ことから、常に「孤独」な思いを余儀なくされている現状があります。
また同時に、裁判員経験者同士、裁判終了後自由に会ったり連絡し合ったりすることは全く問題ないのですが、「守秘義務」へのイメージがやや先行してしまい、「そういうことは一切してはいけない」「許されていない」と思ってしまっているケースもあるようです。
(場合によってはお互いの名前さえもわからないままの事例も報告されています)

その意味から、裁判員経験者は周囲からも裁判員同士からも分断されていると言えます。

実際に次のような例もありました。今回この裁判員経験者ネットワークにも参加されている方のお話ですが、この方は障がいをお持ちであることから、裁判員をやっている期間、他の裁判員のみなさんから色々と気遣いをしてもらったことが、とても嬉しかったとのことです。そんな想いから「とにかく一言お礼が言いたい」と思っておられるのですが、実は裁判員同士で連絡先を交換するなどしなかったことから、「お礼が言えない」ということにずっと心のわだかまりを感じ続けている、とのことです。この方の場合、後になって裁判員経験者同士が連絡しあったりすることが問題ないということを知ったそうです。

このような状況は、決して裁判員経験者にとっては良い状況とは言えません。また今後も毎年数千人以上が裁判員を新たに経験していくことを考慮すると、社会全体としてもプラスとは言えず、制度の運用面から言っても放置すべきではないでしょう。その観点から、このような交流の機会を作ることは重要なことではないでしょうか。

 

・経験の共有

また、これもこのネットワークに参加されている経験者の方のお話ですが、「裁判が終わったら、(裁判員としての立場から)お互いにすっと消えるべき・・・そんなふうに思っていた。でも、この経験を通して他人の人生の背景を深く考えるようになった。そういう自分の変化を含めて、体験そのものが共有できる場がある方が良いと思う」とおっしゃっていました。
私も含めてですが一般市民としてはこれから「裁判員になるかもしれない」わけですから、裁判員になるとどうなるのか、というのは当然のことながら関心があります。
もちろん、人それぞれケースが違うわけですから一概には言えない部分もありますが、少なくとも、裁判員を経験するとどうなるのかという自分なりのイメージをつかむ上では参考になると思いますし、事前の心構えをする上でも役立つのではないでしょうか。

 

・今後について

市民も裁判員として裁判に関わることになりました。制度としてはスタートから約1年しか経っておらず、まだまだこれから改善すべき点はたくさんあると思います。その時に「裁判員」としての経験された方の意見や想いは大変重要ではないでしょうか。特に守秘義務に関しては、正しい理解の必要性や、検討すべき課題、争点も多くあります。今後はそういった観点からも、活動を進めて行きたいと思っております。

もちろん「守秘義務」は裁判員の方々を守るために存在する側面もあります。またプライバシー等にも配慮が必要です。この点を考慮して、弁護士もこの活動に参加しています。後援弁護士として、元最高裁判所判事の濱田邦夫弁護士や日本弁護士連合会裁判員本部の牧野茂弁護士、その他にも、東京、名古屋、札幌、京都の弁護士が参加しています。

このネットワークは、東京、名古屋、大阪の市民団体が連携しながら展開していく予定です。裁判員ネットも他の市民団体と一緒にこのネットワーク作りに参画しております。

裁判員経験者のプライバシーに配慮して登録制となっております。
年会費は1,000円で、第1回の交流会を9月20日に東京都内で実施する予定です。

 

・お問い合わせは

お問い合わせは、裁判員ネット事務局又は裁判員経験者ネットワークのホームページからアクセスできます。どうぞお気軽にお問い合わせください。
⇒裁判員経験者ネットワーク・ホームページ

■参考情報
⇒守秘義務ついてはこちら

(裁判員ネット理事・坂上暢幸)

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