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「裁判員裁判市民モニター2010・春」実施報告~傍聴と模擬評議を行いました

2010年5月28日

20100527

裁判員制度がスタートしてから1年が経過しました。
裁判員ネットでは実際の裁判員裁判を私たち市民の視点で見る「裁判員制度市民モニター」を実施しております。裁判員裁判の法廷では、傍聴している人も裁判員とほぼ同じ情報を得ることができます。この「モニター」は裁判員裁判を傍聴することで、市民の声を集め、裁判員裁判の検証や提言に活かそうという意図から昨年より実施して参りました。

また、これまでモニターを続けてきて実感していることですが、実際に裁判員裁判を傍聴することで、テレビのニュースや新聞の記事を通してでは決してわからないことや、現場に足を運ぶことではじめて分かることが本当にたくさんあります。
そんな気づきや発見を一人でも多くの方と共有し、一緒に考えることができたらという願いも込めて、私たちはこの裁判傍聴市民モニターを企画・実施しております。

今月は「裁判員裁判市民モニター2010・春」と題しまして5月17日(月)~20日(木)の期間、東京地裁にて裁判員裁判の「傍聴」と「模擬評議」を合わせた企画を実施致し、多くのみなさんにご参加いただきました。
今回傍聴したのは、昨年発生した性犯罪事件に関する裁判員裁判でした。5月21日はちょうど裁判員制度が施行1年の節目のタイミングと重なることになりましたが、学生をはじめ社会人や主婦の方など多くの市民の方々にご参加頂き、その上でたくさんのご意見・ご感想を頂きました。

『はじめて「裁判」を傍聴してみて裁判は自分とは程遠い世界の話だと思ったが、実際に傍聴してみてそうではないと思った。司法に関心をもてるようになった。』(大学3年生)

『非常に貴重な体験をした。裁判の傍聴は初めてで「重い」ということを非常に感じた。』(会社員)

『裁判の傍聴は初めてであったが、これまでの考えを改めさせる体験となりました。』(主婦)

またこの期間中の5月19日(水)には「模擬評議」を実施しました。
「評議」とは裁判において「判決をきめる議論」のことを言いますが、実際の裁判員裁判では裁判員の方と裁判官の間で行われます。この評議の内容には守秘義務が課されることから、その議論の内容は明らかにはされません。つまり市民である裁判員の方たちがどういったプロセスで判決に至ったのかはわからないのです。そこで、裁判員ネットでは「模擬評議」を行っています。

「模擬評議」とは実際の裁判員裁判を傍聴した市民のみなさんで、その裁判の判決を考えるというものです。裁判員裁判では、基本的には傍聴席からも裁判員とほぼ同じ情報を得ることができます。ですから、その模擬評議の議論の内容やプロセスを追うことで、実際の裁判員のみなさんが議論したであろう筋道を予想することや想像することができます。もちろん傍聴者による議論ですから、実際の裁判官や裁判員の議論とは違うものです。しかし、少なくとも議論のポイントとなった部分の「仮説」を出すことはできるのではないかと考えています。

この事件に関して、私たちの模擬評議では参加者全員で話し合った結果、懲役8年という結論を出しました。一方、翌日出された実際の判決は懲役6年6ヶ月であり、私たちが出した判決とズレがありました。
私たちの模擬評議では最終的な結論に至るまで、なかなか意見の一致が見られませんでした。それだけ意見が分かれたのですが、もしかすると実際の裁判員や裁判官のみなさんも意見が分かれたのではないでしょうか?もしそうだとするならば、過去の判決傾向などをどれだけ考慮するかということが議論のポイントになったのかもしれません。勿論これはあくまでも仮説でしかありませんが、そういった議論のポイントを蓄積し、それを市民のみなさんと共有することで、いざ自分が裁判員になった時に考えるべき視点やポイントをあらかじめ備えることができるのではないでしょうか?
いずれにしてもこの評議に関してもまだまだ考えるべきテーマはありそうです。

この「裁判員裁判市民モニター」で頂いたご意見や感想は6月12日(土)に東京都内にて開催する裁判員制度の1年を検証するフォーラムにおいて発表する予定です。

一つ一つの裁判は被告人の人生を大きく左右し、国の刑罰が下るという重いものです。そしてこれから私も含めて裁判員としてその決定を委ねられる可能性もあります。自分も裁判員になるかもしれない裁判員裁判を、自分たちの目で見て、耳で聞く。その上で、私たちがどのように犯罪や社会の課題と向き合うのか。また裁判員裁判をどうしていけばよいのかを考える。そのきっかけとして、今後も市民モニターを定期的に実施し、裁判員制度に対する市民の「生の声」を皆さんに発信していきたいと思っています。

(裁判員ネット・稲田康平)

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